ビジネスフォン、PBXは接続する内線電話機の台数や収容する外線の本数によって製品のラインナップが変わってきます。
ビジネスフォンやPBXを選定する時は、次のような項目を参考にすることが多いです。
- 接続する内線電話機の台数
- 接続する内線電話機の種類(多機能電話機、一般電話機、PHS、IP電話機、スマートフォンなど)
- 収容する外線の本数
- 収容する外線の種類(アナログ回線、INS64回線、INS1500回線、LAN直収のIP電話、専用線など)
- 使いたい機能(ACD、CTI、ページング、ドアホン、ボイスメールなど)
内線や外線の数が決まれば、あとはその容量に応じた機種を選定することになるんですね。
ビジネスフォンのシステム容量の目安
ビジネスフォンにはシステム容量というものがあり、機種によって内線や外線の本数の上限が決まっています。
ビジネスフォンでカバーできる内線と外線の数はだいたい次の範囲になります。
- 内線電話機の台数は数台~500台程度まで
- 収容する外線の本数は数本~200本程度まで
意外と広い範囲をカバーしているんですね。
そして、ビジネスフォンはシステム容量に応じて機種が分けられていることが多く、大きく分けると4種類のラインアップに分かれています。
ビジネスフォンのシステム容量に応じたラインアップ
ビジネスフォンはシステム容量に応じて次のようにラインアップが分けられています。
システム容量 | 内線 | 外線 |
---|---|---|
極小規模 | 数台程度 | 1~2回線程度 |
小規模 | 十数台程度 | 8回線程度 |
中規模 | 100台程度 | 30回線程度 |
大規模 | 500台程度 | 200回線程度 |
極小規模の場合ですと、厳密にはビジネスフォンというよりはホームテレホンという扱いになります。
小規模、中規模、大規模の場合ですと、同じシリーズの製品としてラインアップされていることが多いです。
例えば
- 小規模なら「Sタイプ」
- 中規模なら「Mタイプ」
- 大規模なら「Lタイプ」
といった感じですね。
ただし、中には例外もあります。
例えばNECの「AspireWX」が挙げられます。
NEC製の「AspireWX」にはシステム容量に応じたラインアップが存在しておりません。
主装置本体を小さくモジュール化して、必要に応じて組み合わせることにより、一つの機種だけで極小規模から大規模まで対応可能となっています。
接続できる内線の種類や外線の種類も豊富なんですよ。
NEC独自の機能も多く実装されており、AspireWXは機能面、拡張面の両方に優れた機種といえるでしょう。
PBXのシステム容量の目安
PBXもビジネスフォンと同様、ラインナップに応じたシステム容量が定められています。
PBXでカバーできる内線と外線の数はだいたい次の範囲になります。
- 内線電話機の台数は十数台~数千台程度まで
(10,000台を超えるケースもあります) - 収容する外線の本数は数本~数百本程度まで
(1,000回線を超えるケースもあります)
PBXはビジネスフォンの上位に位置付けされる機械となっており、その分、接続できる内線や外線の最大数も多くなっています。
また、ビジネスフォンよりもシステムの堅牢性を重視しており、CPUの二重化でシステムダウンのリスクを減らしたり、停電時でも長時間の稼働に耐えうるような大容量の蓄電池を搭載したりもできるんですよ。
PBXのシステム容量に応じたラインアップ
PBXはシステム容量に応じて次のようにラインアップが分けられています。
システム容量 | 内線 | 外線 |
---|---|---|
中規模 | 200台程度 | 50回線程度 |
大規模 | 数千台程度 | 数百回線程度 |
超大規模 | 1万台以上 | 1,000回線以上 |
システム容量に関しては、ビジネスフォンと被る部分はあるものの、内線が200台以上を越えてくるとPBXを選択するケースが多くなってきます。
内線電話機の数が増えると、それだけシステムが停止したときのリスクが大きくなるからですね。
ですので、必ずしもシステム容量だけが選択の基準になるとは限らないのです。
導入した時点でシステム容量が限界に達してしまうような機種はNG
ビジネスフォン、PBXの機種を選ぶときには、ある程度システム容量に余裕を持たせておくことをおすすめします。
ビジネスフォン、PBXを導入した時点でシステム容量を全部使いきってしまうような構成だと次のようなデメリットがあるからです。
- 将来増設が必要となったときに、これ以上増設できないため、既設の内線、外線でやりくりする必要がある
- どうしても増設しなければならないとなった場合には、ビジネスフォン、PBX主装置を取り替える必要がある
- 取り替えるにしてもメーカーの部品供給が終了してしまっていると、内線電話機も含めた全ての機器を取り替えなければならないことがある
- システム容量がMAXの状態で、なおかつ高いトラフィックで運用すると動作が不安定になることがある
このようにシステム容量にゆとりがない状態での運用は、長期的な視点で考えると逆に余分なコストがかかったり、業務に支障をきたすケースもあるのです。
ですので、ある程度将来の拡張性やシステムの安定稼働を考慮した上で、ビジネスフォン、PBXを選択することをおすすめします。
最後に
今回はビジネスフォン、PBXにはシステム容量に応じて様々なラインナップがある、ということについて説明しました。
簡単にまとめると次のとおりです。
ビジネスフォン
- 極小規模タイプ(内線:数台程度)
- 小規模タイプ(内線:十数台程度)
- 中規模タイプ(内線:100台程度)
- 大規模タイプ(内線:500台程度)
PBX
- 中規模タイプ(内線:200台程度)
- 大規模タイプ(内線:数千台程度)
- 超大規模タイプ(内線:1万台以上)
内線電話機の台数が300台から400台を超える規模になってきますと、システムの堅牢性を重視して、ビジネスフォンではなくPBXを導入されるケースが増えてきます。
将来の拡張性、処理能力、システムの二重化、耐久性等を考慮すると、ビジネスフォンよりはPBXという選択肢にならざるを得ないのかもしれませんね。
ただし、ユーザビリティに関しては、ビジネスフォンのほうが便利であることは間違いありません。
最後までご覧いただきましてありがとうございます。