ダイヤルイン契約をしたISDN回線をビジネスフォン・PBXに収容できます。
ISDN回線には次の2種類の回線があります。
- INS64回線
- INS1500回線
INS64回線は1回線で同時2通話、INS1500回線は1回線で同時23通話できるんですよ!
今回はそんなISDN回線のダイヤルインについて説明していきます。
「ISDN回線のダイヤルイン」はデジタル信号なので「アナログ回線のダイヤルイン」よりも着信に時間がかからない
ISDN回線 (INS64・INS1500) はデジタル信号で通信を行うデジタル回線です。
アナログ回線のような、PB信号 (プッシュ信号) またはDP信号 (ダイヤルパルス信号) という概念はありません。
ISDN回線のチャネル構成は次のように Bch と Dch に分かれています。
- 通話で使用する Bch (Bチャネル)
- 通信制御で使用する Dch (Dチャネル)
INS64回線とINS1500回線のチャネル構成
INS64回線とINS1500回線とではBchとDchの構成が異なります。
- INS64回線は 2B+D (同時2通話)
- INS1500回線は 23B+D (同時23通話)
INS64 や INS1500 などのISDN回線は通信制御に関する通信は Dch が行っています。
ISDN回線のダイヤルイン着信のシーケンスも Dch が制御を行う形になります。
ISDN回線はデジタル信号でビジネスフォン・PBXと通信を行うため、アナログ回線のダイヤルインのように着信時に時間がかかることはありません。
- アナログ回線のダイヤルイン着信は着信ベルが鳴動を始めるまで数秒程度の時間がかかる
- ISDN回線 (INS64回線、INS1500回線) のダイヤルイン着信は着信時にすぐにベルが鳴動する
ISDN回線のダイヤルインには「グローバル着信」が存在する
アナログ回線のダイヤルインと違い、ISDN回線(INS64・INS1500)のダイヤルインには、「グローバル着信」というものが存在します。
ISDN回線(INS64・INS1500)でダイヤルイン契約をすると、特に指定しない限り「グローバル着信」が「あり」の状態で契約されます。
そもそも「グローバル着信」とは何か
ISDN回線でダイヤルイン着信すると局から着番号情報が送られてきます。
○○-○○○○-2222にダイヤルイン着信した場合の動作例
- ○○-○○○○-2222 に着信する
- ビジネスフォン・PBXが着信に1次応答する
- 局から着番号情報「○○-○○○○-2222」が送られてくる
- 局からの着番号情報をビジネスフォン・PBXが受信する
- 受信した着番号情報に応じてビジネスフォン・PBXで設定した着信先に着信する
ISDN回線のダイヤルインでは、着信した電話番号に応じた着番号情報が局から送られてきます。
しかし「グローバル着信」が「あり」の状態ではこの着番号情報が局から送られてきません。
「グローバル着信」の「あり」と「なし」の違い
- 「グローバル着信あり」だと局から着番号情報が送られてこない
- 「グローバル着信なし」だと局から着番号情報が送られてくる
このようにグローバル着信の「あり」と「なし」の違いはダイヤルイン着信したときに着番号情報が局から送られてくるか送られてこないかの違いになります。
「グローバル着信あり」は代表ダイヤルインの代表契約番号に適用される
「グローバル着信あり」が適用されるのは代表ダイヤルインの代表契約番号にのみになります。
代表以外の番号には適用されません。
INS64回線3本で6ch5番号の代表ダイヤルインの構成例
- ○○-○○○○-1111 (INS64回線、代表契約番号)
- ○○-○○○○-2222 (INS64回線、契約番号)
- ○○-○○○○-3333 (INS64回線、契約番号)
- ○○-○○○○-4444 (追加番号)
- ○○-○○○○-5555 (追加番号)
「グローバル着信あり」の場合
- ○○-○○○○-1111 (着番号情報なし)
- ○○-○○○○-2222 (着番号情報あり)
- ○○-○○○○-3333 (着番号情報あり)
- ○○-○○○○-4444 (着番号情報あり)
- ○○-○○○○-5555 (着番号情報あり)
「グローバル着信なし」の場合
- ○○-○○○○-1111 (着番号情報あり)
- ○○-○○○○-2222 (着番号情報あり)
- ○○-○○○○-3333 (着番号情報あり)
- ○○-○○○○-4444 (着番号情報あり)
- ○○-○○○○-5555 (着番号情報あり)
ISDN回線のダイヤルイン着信で「グローバル着信あり」の場合の動作例
ここからは実際に「グローバル着信あり」のときの動作について見ていきましょう。
1. 「グローバル着信あり」の状態だと代表ダイヤルインの代表契約番号には局から着番号情報が送られてこない
- ○○-○○○○-1111に着信 → 着番号情報が送られてこない
- ○○-○○○○-2222に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-2222」が送られてくる
- ○○-○○○○-3333に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-3333」が送られてくる
- ○○-○○○○-4444に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-4444」が送られてくる
- ○○-○○○○-5555に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-5555」が送られてくる
2. 着番号情報が送られてこないとビジネスフォン・PBXの機種によっては正常に着信させることができない
- 着番号情報なし→着信先を指定できない
- 着番号情報「○○-○○○○-2222」を受信 → 多機能電話機のファンクションキーに割りつけた着信ボタン1に着信させる
- 着番号情報「○○-○○○○-3333」を受信 → 多機能電話機のファンクションキーに割りつけた着信ボタン2に着信させる
- 着番号情報「○○-○○○○-4444」を受信 → 多機能電話機(内線20)に着信させる
- 着番号情報「○○-○○○○-5555」を受信 → 内線FAX(内線30)に着信させる
着番号情報が局から送られてこなければ、「グローバル着信あり」に未対応のビジネスフォン・PBXでは着信先を指定して着信させることができません。
代表契約番号以外の電話番号に関しては、局から着番号情報が送られてくるので、ビジネスフォン・PBX側で受信した着番号情報に応じた着信先に着信をさせることが可能です。
3. 「グローバル着信あり」に対応したビジネスフォン・PBXなら着番号情報がなくても正常に着信させることができる
ISDN回線のダイヤルインで「グローバル着信あり」で契約してもビジネスフォン・PBX側が「グローバル着信あり」に対応していれば正常に着信させることが可能です。
ISDN回線のダイヤルイン着信で「グローバル着信なし」の場合の動作例
ここからは「グローバル着信なし」の場合の動作について見ていきましょう。
1. 「グローバル着信なし」なら代表ダイヤルインの代表契約番号にも局から着番号情報が送らくる
- ○○-○○○○-1111に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-1111」が送られてくる
- ○○-○○○○-2222に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-2222」が送られてくる
- ○○-○○○○-3333に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-3333」が送られてくる
- ○○-○○○○-4444に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-4444」が送られてくる
- ○○-○○○○-5555に着信 → 着番号情報「○○-○○○○-5555」が送られてくる
2. 着番号情報が全てのダイヤルイン番号に対して送られてくるので代表契約番号も正常に着信させることができる
- 着番号情報「○○-○○○○-1111」を受信 → 多機能電話機(内線10)に着信させる
- 着番号情報「○○-○○○○-2222」を受信 → 多機能電話機のファンクションキーに割りつけた着信ボタン1に着信させる
- 着番号情報「○○-○○○○-3333」を受信 → 多機能電話機のファンクションキーに割りつけた着信ボタン2に着信させる
- 着番号情報「○○-○○○○-4444」を受信 → 多機能電話機(内線20)に着信させる
- 着番号情報「○○-○○○○-5555」を受信 → 内線FAX(内線30)に着信させる
この「グローバル着信」ですが、「あり」の状態だと、ダイヤルイン契約をしていない回線と同じ着信方式(=通常通りの着信)となります。
「なし」の状態だと、局から「着番号(内線指定番号)」が送られてくるので、その「着番号(内線指定番号)」に応じた着信先に着信(=ダイヤルイン着信)させることになります。
グローバル着信ありのほうがダイヤルイン番号1つ分だけ月額料金が安い
ダイヤルインサービスでは電話回線の基本料金とは別に電話番号(ダイヤルイン番号)に対して月額料金が発生します。
電話番号 (ダイヤルイン番号) は1番号につき月額880円(税抜 800円)かかります。
INS64回線、6ch5番号の代表ダイヤルイン契約で「グローバル着信あり」の場合
- ○○-○○○○-1111 → 電話回線の基本料金
- ○○-○○○○-2222 → 電話回線の基本料金 + 880円(税抜 800円)
- ○○-○○○○-3333 → 電話回線の基本料金 + 880円(税抜 800円)
- ○○-○○○○-4444 → 880円(税抜 800円)
- ○○-○○○○-5555 → 880円(税抜 800円)
INS64回線、6ch5番号の代表ダイヤルイン契約で「グローバル着信なし」の場合
- ○○-○○○○-1111 → 電話回線の基本料金 + 880円(税抜 800円)
- ○○-○○○○-2222 → 電話回線の基本料金 + 880円(税抜 800円)
- ○○-○○○○-3333 → 電話回線の基本料金 + 880円(税抜 800円)
- ○○-○○○○-4444 → 880円(税抜 800円)
- ○○-○○○○-5555 → 880円(税抜 800円)
このように「グローバル着信あり」の場合には代表契約番号の ○○-○○○○-1111 のダイヤルイン番号1つ分(880円)だけ月額料金が安くなるというわけです。
INS64回線なら「iナンバー」を選択したほうがいい場合がある
INS64回線にはINS1500回線と違い、iナンバーというサービスがあります。
iナンバーの特徴
- INS64回線1回線でしか契約できない (複数本でグループを組むことはできない)
- INS64回線1回線で最大3番号まで取得可能
- 2ch2番号 で 月額330円(税抜 300円)
- 2ch3番号 で 月額440円(税抜 400円)
このようにiナンバーはINS64回線1回線でしか契約できませんが、ダイヤルインよりも月額料金が安く済むためお得です。
ちなみにダイヤルインでiナンバーと同じ構成を取ると、料金は次のようになります。
iナンバーと同じ構成でダイヤルイン契約をした場合の料金
- 2ch2番号 (グローバル着信あり) で 月額880円(税抜 800円)
- 2ch2番号 (グローバル着信なし) で 月額1,760円(税抜 1,600円)
- 2ch3番号 (グローバル着信あり) で 月額1,760円(税抜 1,600円)
- 2ch3番号 (グローバル着信なし) で 月額2,640円(税抜 2,400円)
「INS64回線が1回線で電話番号が3番号まで」という条件で問題ないのであればiナンバーを選択したほうがお得ですね。
最後に
ダイヤルイン契約をしたISDN回線(INS64回線、INS1500回線)をビジネスフォン・PBXに収容するケースはよく見受けられます。
ある意味一番よくある組み合わせであるともいえます。
最近ではひかり電話やKDDI光ダイレクトなどのIP電話サービスの普及が進んできていますが、電話回線の運用の安全性を求める場合にはまだまだISDN回線のほうに軍配が上がるようです。
なんだかんだ言っても、いざという時はメタル回線のほうが強いですね!
最後までご覧いただきましてありがとうございます。