各支店への着信を本社に集約することで、各支店内の電話受付業務を削減し、より深く業務に集中できる体制を築くことができます。
特に、外回りなどの営業活動が中心の企業様にとっては、より大きな恩恵を受けることができるのではないでしょうか。
IPネットワークのブロードバンド化が進み、通信機器の性能も飛躍的に向上した現在では、音声通話もIPネットワーク上で行われる比率が高くなりました。
それに伴いビジネスフォン・PBXの拠点間の接続方法も、従来の専用線サービスからIPネットワークを利用したVPN(IP-VPNやインターネットVPNなど)へとシフトしています。
というわけで、各支店の着信を本社に集約するための2つを利用した方法
- ボイスワープ
- VPNを利用したSIP専用線
について、順番に説明していきましょう。
ボイスワープで各拠点への着信を本社に転送
各支店の代表番号に対してボイスワープを契約し、本社の電話番号に転送します。
本社側は各支店に応じた電話番号(ダイヤルイン番号)を取得して、どの支店から転送されてきたのかが一目でわかる状態にします。
ボイスワープなので転送先でも発信元の電話番号が通知されるのでどのお客様からの電話なのかがわからなくなることはありません。
ただし、受けた電話を保留してから、支店の内線に転送するためには、以下のような手順の操作が必要となります。
- 通話を保留
- 転送先の支店の社内用の電話番号をダイヤル
- 転送先の支店のどこかの内線が応答
- 転送先の支店の中で通話を本人に取次ぎ
- 転送元(本社)と転送先(本人)が通話
- 保留していた通話を取次ぎ
本人が不在だった場合は支店から外出先の本人に取り次いでもらうか、一度通話を切ってから直接こちらから外出先の携帯を呼び出すか、いずれかの操作が必要となります。
ボイスワープは月額840円(税込)の基本料金に加えて、転送元から転送先(この例の場合は本社~支店)の通話料金も必要となります。
着信の頻度が高い企業様では、この通話料金にかかる費用を少しでも抑えたいところではないでしょうか。
各拠点間をIP-VPN網で結ぶ
各拠点間をIP-VPN網で結ぶことで、各拠点間の通話料金を定額にすることができます。
グループ内でIP-VPN網を構築し、全拠点のビジネスフォンをSIP専用線で結びます。
IP-VPNは拠点数や使用帯域などに応じてアクセスライン(光、ADSL)の選定や料金が異なってきます。(フレッツVPNワイド、ArcstarIP-VPN、KDDI IP-VPNなどの各種IP-VPNのサービスを参照してください)
VPN構築に当たっては次のVPNルータがおすすめです。
SIP専用線に関しては、SIP専用線対応のビジネスフォンが必要となります。
初期投資費用が相当にかかりますので、ランニングコストを算出した上でご検討ください。
拠点が異なっても内線番号をダイヤルするだけで通話が可能
拠点ごとに割り当てる内線番号を計画的に割り当てる設計をすることで、異なる拠点間でも内線番号をダイヤルするだけで通話することが可能になります。
拠点ごとの将来的な拡張性を見越した上で内線番号を割り当てる範囲を設定することをおすすめします。(特に先頭の番号は極力分けずに設計しましょう)
違う拠点からの内線着信でも内線番号が通知されます
SIP専用線なら違う拠点からの内線着信でも液晶画面に内線番号が通知されるので、どこの拠点のどの人からかかってきたのか一目でわかります。
ODやLD、TTC-2M、リングダウンなどの方式だと、内線番号までは表示されませんので、実際に通話をしてみるまではどこの拠点のどの内線番号からかかってきたのかの判別はできません。
SIP専用線であれば、相手の番号が通知されるので、社内の内線と同じような感覚で利用することが可能です。
各支店への外線着信をIP-VPN網を経由して本社に転送する
各支店への外線着信をSIP専用線を経由させて本社に転送させることができます。
この機能を使うことで各支店で利用しているボイスワープは不要になります。
転送の開始と解除は各支店のビジネスフォンにモード切替の設定をしておくことで、自由にON/OFFすることが可能です。
発信元の電話番号が転送先でも通知されます
各支店に向けてかけてきた発信元の電話番号が、転送先でも同じように通知されます。
発信元の電話番号が通知されれば、顧客管理がより簡単になりますので業務の効率化にもつながります。
各支店へのFAXの着信をIP-VPN網を経由して本社に転送する
電話と同様に、FAXの着信もSIP専用線を経由させて本社に転送することができます。
本社側はFAXサーバを設置することで、全拠点から受信したFAXを一元管理することが可能になります。
これでFAXの番号に対してもボイスワープの契約は不要になりますね。
発信元のFAX番号が転送先でも通知されます
FAXでも同じように発信元のFAXの電話番号がSIP専用線経由後の転送先でも通知されます。
転送された着信を各拠点の内線に保留・転送する
本社にSIP専用線経由で転送されてきた着信を各拠点の内線に保留・転送することができます。
操作としては以下のような感じになります。
- 通話を保留します。
- 転送先の別の拠点の内線番号をダイヤルします。
- その拠点の内線が着信に応答、通話します。
- 保留していた通話を取次ぎます。
ボイスワープの時とは違い、本人の内線番号を直接呼び出せるので、取次ぎにかかる作業を減らすことができます。
でも本人が社内にいなかったら?
次の項目で説明します。
不在転送を利用して外出先に自動転送する
保留・転送した先の内線の人が不在だったらどうするのか?
そういうときは、「不在転送機能」を利用します。
自分の内線電話機に不在転送先として、自分の携帯電話を登録しておけば、内線への着信は全て自分の携帯電話に転送されます。
本社から保留・転送されてくる着信は不在転送で自動的に携帯電話に転送されます。
これで取次ぎ業務にかかるロスをまた一つ減らすことができます。
ただ一つ残念なのは、転送先の携帯電話には発信元の電話番号は通知されずに、不在転送元の支店の電話番号が通知されてしまうことでしょうか。
各支店の着信を本社に集約するのまとめ
- IP-VPNで各拠点間を結ぶネットワークを構築する。
- SIP専用線対応のビジネスフォンを全拠点に導入する。
- 各支店の外線着信を本社に常時転送し、本社に着信を集約する。
- 同じくFAXの着信も本社に常時転送し、本社に着信を集約する。
- 取次ぎ業務を削減するために、不在時は不在転送機能を利用する。
VPN+SIP専用線で各拠点間を接続すれば、ボイスワープのように転送のたびに通話料金が発生することはありません。
ボイスワープは契約だけにとどめておき、SIP専用線のバックアップ用として置いておけば、ビルの停電などでビジネスフォンが止まったときでも安心です。
最後までご覧頂きまして、ありがとうございます。