仮想内線とは、ビジネスフォン・PBXのデータ上にのみ存在する、仮想的な内線のことを言います。
つまり、仮想内線には電話機が存在しないんです。
【仮想内線】は「内線番号=内線電話機」にはならない
【内線番号】とは内線電話機1台1台に付与されたユニークな電話番号のことを指します。
- 多機能電話機
- 一般電話機
- ISDN端末(G4-FAXなど)
- PHS子機
- IP多機能電話機
- ソフトフォン
- SIP電話機
などなど、これら端末には必ず一意の内線番号が付与されています。
ですので、基本的には「内線番号=内線電話機」という関係となるんですね。
一方、【仮想内線】ではどうでしょうか?
仮想内線はビジネスフォン・PBXのデータ上にのみ存在する【仮想的な内線番号】です。
データ上にのみ存在しますので、とうぜん電話機も存在しません。
つまり、仮想内線においては「内線番号=内線電話機」ということにはなりません。
では、仮想内線はどういった場面で使われるのか?
それについては後ほど説明するとして、まず先に端末が存在する普通の内線番号について説明しましょう。
一般的な電話機の内線番号はビジネスフォン・PBXの基板(パッケージ)の【物理的な回路】に設定する
ビジネスフォン・PBXにおいて、もっともよく利用されている内線電話機は次の2種類です。
- 多機能電話機
- 一般電話機
この2種類に加えて「ISDN端末」というものもあるのですが、利用頻度としてはかなり低いです。
ちなみにこれらの内線電話機の接続する大元となるのは、ビジネスフォン・PBXの主装置本体に実装された基板(パッケージ)になります。
多機能電話機なら多機能内線パッケージに
一般電話機ならアナログ内線パッケージに
ISDN端末ならISDN内線パッケージに
これらの基板(パッケージ)には内線番号ごとに回路が存在しており、工事者はその回路に対して内線番号を設定したり、その回路から電話機の間をケーブルで接続したりするんですね。
多機能電話機や一般電話機のような「よく使われる内線電話機」は、このように内線番号とパッケージの回路が物理的につながっているのです。
PHSやIP多機能電話機、SIP電話機は【論理的な回路】に内線番号を設定する
先程は「内線番号と電話機が物理的」につながる内線番号について説明しました。
次は「内線番号と電話機が論理的」につながる内線番号について説明しましょう。
論理的な回路ごとに内線番号を設定する端末
論理的な回路に接続される内線電話機には次のような種類があります。
PHS子機
PHS子機はPHSアンテナを経由して無線で接続されるため、物理的な内線回路を持っていません。
そのため、ビジネスフォン・PBX上に存在する論理的な回路に接続されることになります。
IP多機能電話機、SIP電話機
IP多機能電話機やSIP電話機はLAN経由での接続になるため、やはり物理的な内線回路が存在しません。
電話機固有のIPアドレスやMACアドレスと内線番号を論理的に結びつけることにより動作します。
ソフトフォン
ソフトフォンはパソコンにインストールしてデスクトップ上で使う仮想的な内線電話のことです。
IP多機能電話機と同様、LAN上での接続になるため、とうぜん物理的な内線回路は存在しません。
スマートフォン
スマートフォンをビジネスフォン・PBXの内線として接続する方法はいくつかあるのですが、そのいずれも論理的な接続となるため、物理的な内線回路というものは存在しません。
このように、内線番号には「物理的な回路」に接続されるものと「論理的な回路」に接続されるものがあることがお分かりいただけたかと思います。
仮想内線は仮想内線用の【論理的なポート】に内線番号を設定する
仮想内線には電話機などの端末が接続されることがありません。
そのため基板(パッケージ)を実装する必要はありませんし、IPアドレスも不要です。
仮想内線はビジネスフォン・PBX内部に設けられた専用の論理的なポートに内線番号を設定することで生まれるのです。
次は、作られた仮想内線がどのように使われるのか? について説明していきましょう。
仮想内線は多機能電話機のファンクションキーに割り付けて使用
仮想内線がもっともよく使われる場面は、やはり多機能電話機のファンクションキーに割り付けての運用でしょうか。
ファンクションキーに割り付けられた仮想内線は、他の内線電話機からダイヤルされるとボタンが点滅しベルが鳴動します。
詳しくは次の動作概要にて説明しますね。
仮想内線呼出の動作概要
続いて、仮想内線を呼び出したときの動作概要について説明しましょう。
動作概要の設定状況
- 多機能内線10~13の【ファンクションキー01】に【仮想内線20】を割り付ける
1. 内線電話機の受話器を上げて仮想内線番号をダイヤル
別の内線電話機の受話器を上げて、仮想内線の内線番号(内線番号20)をダイヤルします。
2. 仮想内線ボタンが点滅しベルが鳴動する
多機能電話機のファンクションキーに割り付けられた仮想内線(内線番号20)ボタンが点滅し着信ベルが鳴動します。
3. 点滅している仮想内線ボタンを押して応答・通話
着信点滅している仮想内線(内線番号20)ボタンを押すと、着信に応答し発信元の内線との通話になります。
最後に
ビジネスフォン・PBXで使用される【仮想内線】について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
仮想内線は多機能電話機のファンクションキーに割り付けて使用することを前提にされた内線です。
といいつつも、ビジネスフォン・PBXが世代を重ねるごとに仮想内線も進化しているため、その運用は多岐にわたります。
実際にはキーに割り付ける以外の運用においてもいろいろと応用が効くんですよね
仮想内線でなければ実現できないような運用方法ももちろんあります。
ただ残念ながら、すべてのビジネスフォン・PBXが仮想内線を使えるわけではありません。
もしも仮想内線に興味がお有りのようでしたら、ビジネスフォン・PBX更新の際に検討されてみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただきましてありがとうございます。