VPNサービスはアナログ回線やISDN回線などの電話回線に付加するサービスです。
VPNサービス契約者は同じ契約グループ内の拠点間同士で専用線と同じような使い方ができます。
VPNサービスは普通の電話回線(局線)を利用
VPNサービスは普通の電話回線(局線)に付加するサービスです。
VPNサービスの同じ契約者グループ内であれば、専用線のような使い方が可能になります。
既存の電話回線(局線)をそのまま流用できるので、初期導入コストを低く抑え、簡単に導入が可能となっています。
VPNサービスにはオンネット通話とオフネット通話の2種類がある
- オンネット通話はVPNサービスを契約した同一グループ内でのみ利用できる通話
- オフネット通話はVPNサービス内ではなく、普通の電話番号を利用した通話
オンネット通話~VPNサービス契約をした同一グループ内で行う通話~
オフネット通話は電話番号の代わりにロケーション番号で呼び合う
ロケーション番号とはVPNサービス独自の内線番号
VPNサービスの同じ契約グループ内の事業所ごとにVPNサービス独自の内線番号(ロケーション番号)を割り振ります。
ロケーション番号を割り振り、体系化することで全事業所の番号体系をわかりやすく構築することができます。
ロケーション番号は電話番号1個に対して、1個割り付けられますが、複数の電話番号をひとまとめにして、1個のロケーション番号に集約することも可能です。
ロケーション番号は拠点番号と呼ぶこともあります。
ロケーション番号の割付例
- 電話回線「11-1111-0001」~「11-1111-0099」にはロケーション番号「40」
- 電話回線「22-2222-0001」~「22-2222-0099」にはロケーション番号「41」
- 電話回線「333-333-0001」にはロケーション番号「42」
ダイヤルインサービスと組み合わせてビジネスフォン・PBXの内線をダイレクトに呼び出せる
VPNサービスを契約している電話回線にダイヤルインサービスと組み合わせることもできます。
ビジネスフォン・PBXの配下の内線をダイレクトに呼び出すように設定することも可能です。
ほとんどの場合VPNサービスをダイヤルインサービスと組み合わせて利用されます。
VPNサービス+ダイヤルインサービスを組み合わせたダイヤルの操作例
- 拠点A、BともにVPNサービスとダイヤルインサービスを契約している
- 拠点Aのオンネット発信特番「4」(閉番号のため特番も相手先番号のダイヤル内容に含む)
- 拠点Aのロケーション番号「40」
- 拠点Aの内線「1000」
- 拠点Bのオンネット発信特番「4」(閉番号のため特番も相手先番号のダイヤル内容に含む)
- 拠点Bのロケーション番号「41」
- 拠点Bの内線「2000」
- 拠点A(ロケーション番号40)の内線1000の受話器を上げる
- 拠点A(ロケーション番号40)の内線1000から「412000」とダイヤルする
- 拠点B(ロケーション番号41)の内線2000に着信する
- 拠点B(ロケーション番号41)の内線2000が応答する
- 拠点Aの内線1000と拠点Bの内線2000のオンネット通話になる
- 拠点B(ロケーション番号41)の内線2000の受話器を上げる
- 拠点B(ロケーション番号41)の内線2000から「401000」とダイヤルする
- 拠点A(ロケーション番号40)の内線1000に着信する
- 拠点A(ロケーション番号40)の内線1000が応答する
- 拠点Bの内線2000と拠点Aの内線1000のオンネット通話になる
オフネット通話~VPNサービス外で普通の電話番号で行う通話~
オフネット通話はVPNサービスの契約あり・なしに関係なく普通の電話番号で利用する通話のことです。
VPNサービスを契約した電話回線はオンネット通話から0発信するとオフネット通話に切り替わる
VPNサービスを契約した電話回線は受話器を上げた状態だとまずはオンネット通話になります。
オンネット通話の状態から「0」発信を行うことでオフネット通話に切り替わります。
つまりVPNサービスを契約した電話回線から普通の電話番号をダイヤルして通話をしたい場合には「0」を1つ余分に多くダイヤルする必要があるわけです。
VPNサービスを契約した電話回線を使ってビジネスフォン・PBXの内線から電話をかける場合の操作例(VPNサービス用の設定をしていない場合)
オフネット発信
- 内線電話機の受話器を上げる
- 外線発信特番の「0」をダイヤル(1回目の「0」をダイヤル)
- オンネット通話の状態でVPNサービスの契約をした電話回線(ロケーション番号40)をつかむ
- オンネット通話の状態からオフネット発信特番の「0」をダイヤル(2回目の「0」をダイヤル)
- オフネット通話の状態で電話回線(03-yyyy-yyyy)をつかむ
- 相手先の電話番号03-xxxx-xxxxをダイヤル
- 03-xxxx-xxxxに着信する
- 03-xxxx-xxxxが応答する
- 03-yyyy-yyyyと03-xxxx-xxxxとでオフネット通話になる
結論として「0+0+相手先番号」という操作になります。
オンネット発信
- 内線電話機の受話器を上げる
- 外線発信特番の「0」をダイヤル
- オンネット通話の状態でVPNサービスの契約をした電話回線(ロケーション番号40)をつかむ
- 相手先のロケーション番号「42」をダイヤル
- 相手先の電話回線(ロケーション番号42)に着信する
- 相手先の電話回線(ロケーション番号42)が応答する
- ロケーション番号40とロケーション番号42とでオンネット通話になる
結論として「0+ロケーション番号」という操作になります。
ダイヤルインサービスを併せて利用している場合は「0+ロケーション番号+内線番号」になります。
余分なダイヤルがわずらわしいのでビジネスフォン・PBXの設定で細工をする
- オフネット発信では「0+0+相手先番号」
- オンネット発信では「0+ロケーション番号」もしくは「0+ロケーション番号+内線番号」
余計なダイヤルが増えて操作が面倒に感じることもあるかもしれません。
そこでビジネスフォン・PBXの設定で細工をすることで、次のような操作にすることができます。
- オフネット発信では「0+相手先番号」
- オンネット発信では「ロケーション番号」もしくは「ロケーション番号+内線番号」
オフネット発信時にはビジネスフォン・PBXで「0」を自動的に付加させる
外線発信特番の「0」をダイヤルしたときには、ビジネスフォン・PBX側でもうひとつ「0」を自動的に追加させるという設定を行います。
VPNサービスの契約をしていない電話回線と同じような操作でオフネット発信を意識することなく利用することができるわけです。
オンネット発信時にはロケーション番号を外線発信特番にしてしまう
たとえば相手のロケーション番号41にオンネット発信するときには外線発信特番を「4」に設定した上で閉番号扱いにします。
- 内線電話機から「4」をダイヤルした時点でVPNサービスを契約した電話回線をオンネット状態でつかむ
- 「4」は閉番号扱いなので、相手先の電話番号の一部としてみなす
- つづけて「1」をダイヤルする
- 相手のロケーション番号41を呼び出す
最後に
VPNサービスの最大のメリットは普通の電話回線で付加するサービスである点にあります。
- 専用線のように別途機器を追加する必要がない
- 別途専用線サービスやIP-VPN、インターネットVPNなどのインフラを整備する必要がない
- ビジネスフォン・PBXだけでなく一般電話機だけでも利用できる
全国に事業所をお持ちの会社にとっては使い勝手のいいサービスだといえるでしょう。
最後までご覧いただきましてありがとうございます。