多機能内線パッケージは、ビジネスフォン・PBXに多機能電話機を接続するための基板です。
【1】ビジネスフォン・PBXで最もよく利用されるパッケージ
ビジネスフォン・PBXで一番多く使われる端末は、ずばり多機能電話機です。
それに伴い、多機能内線用パッケージも多く使われることになります。
【2】2芯のスター接続タイプと4芯のバス接続タイプがある
古いビジネスフォン・PBXでは、多機能電話機といえば4芯接続が当たり前でした。(制御用で2芯、通話用で2芯の計4芯)
さらに古いタイプになると、電話機と電話機の間を数十芯以上の電話線で数珠つなぎ (バス接続) していたのですから、それはもう大変でした。
現在は電話機1台に対しての必要な芯線数も少なくなり、電話機への接続は次の2つのタイプに分かれます。(停電電話機は含みません)
- 2芯のスター接続タイプ
- 4芯のバス接続タイプ
【2-1】2芯のスター接続タイプが主流
現在のビジネスフォン・PBXは、2芯のスター接続が主流となっています。
スター接続タイプは、多機能内線パッケージ上にある内線回路に対して、電話機を1台ずつ個別に接続します。
2芯のスター接続になってからは、配線に使用する電話線も必要となる芯線数も減ったことから、昔に比べると全体的に細くなりました。
一方、多機能内線パッケージは1枚あたりに接続できる数が増えて高密度化が進みました。
スター接続タイプは接続台数と芯線数が比例する
スター接続タイプは電話機1台につき、2芯の電話線を必要とします。
例えば1島に10台の電話機が設置されるとすると、2芯×10台で、合計20芯の電話線が必要になります。
電話機の台数に比例して、電話線の芯線数も多くなります。
【2-2】4芯のバス接続タイプは、同一線上に最大10台まで接続
バス接続タイプは、多機能内線パッケージにある1つの回路上に、複数台の電話機を数珠つなぎに接続します。
バス接続はスター接続と異なり、パッケージ上の1回路=多機能電話機1台、という形にはなりません。
バス接続タイプのパッケージには、通常2つ~4つ程度の回路があります。この回路の事は「方路」と呼びます。(2つ回路があれば、「1方路」「2方路」といった形)
1方路に対しては、最大10台までの接続が可能です。
だからといって、1枚の多機能内線パッケージ上に2方路の回路があるから、2×10=20台接続できるぞ!というわけではありません。
あくまでもパッケージ1枚あたりの容量によります。
例えば、10回線用のバス接続タイプのパッケージに、2つの回路が実装されているとすると、次のような形での接続になります。
- 1方路目 (8台)、2方路目 (2台)
- 1方路目 (10台)、2方路目 (0台)
- 1方路目 (4台)、2方路目 (6台)
- 1方路目 (10台)、2方路目 (10台)
- 1方路目 (11台)、2方路目 (0台)
- 1方路目 (8台)、2方路目 (5台)
このように複数の方路があったとしても、パッケージの容量を超える台数は接続できません。
バス接続タイプは接続のしかたによっては、電話線の芯数を少なくできる
バス接続タイプは、電話機1台につき4芯の電話線を必要としますが、10台接続するから4×10=40芯が必要だ、というわけではありません。
例えば、1島に10台の電話機を設置する場合、スター接続タイプでは2芯×10台で合計20芯の電話線が必要になります。
一方、バス接続タイプはどうなるかというと、同じ方路上であれば、10台全部合わせても4芯の電話線で済んでしまいます。
バス接続タイプは各所に分散して電話機を接続するには不向きですが、1箇所にまとまった台数を設置する場合にはメリットがあると言えるでしょう。
【3】パッケージ1枚あたりに多機能電話機を接続できる台数
【3-1】スター接続タイプの場合
- 2台
- 4台
- 5台
- 8台
- 16台
- 24台
- 32台
中でもよく使われるタイプは16回路用、もしくは8回路用でしょうか。
2回路用や4回路用のパッケージは、古いタイプのビジネスフォン・PBXでよく使用されていましたが、今となってはほとんどみかけることはありません。
24回路、32回路用のパッケージは、主に大規模容量タイプのPBXで使用されます。
【3-2】バス接続タイプの場合
- 10台
- 20台
- 40台
【4】多機能電話機の内線番号情報は「電話機本体」ではなく「接続する電話線」によってきまる (ただしNTTのアルファシリーズは除く)
ビジネスフォン・PBXに実装した多機能内線パッケージは、その実装した場所、あるいは実際に実装した早さの順番によって、内線番号を格納する「収容位置」が決まります。
この「収容位置」に対して内線番号のデータを設定することになります。
【4-1】パッケージを実装した場所によって「収容位置」が決まる場合のルール
- 実装した筐体番号
- 筐体の中の基板(パッケージ)を差し込むスロット番号
- 基板(パッケージ)内の回路番号
筐体番号「01」、スロット番号「04」、回路番号「12」だった場合の収容位置は「010412」という具合です。(あくまでも例です)
【4-2】パッケージを実装した早さの順番によって「収容位置」が決まる場合のルール
- 1番最初に16回線用パッケージを実装
- 2番めに16回線用パッケージを実装
- 3番めに8回線用パッケージを実装
内線ポートが「001」から順番に002、003と割り付けられるとすると次のようになります。
- 1番めの 16回線用パッケージ には内線の収容位置として「001~016」が割付けられる
- 2番めの 16回線用パッケージ には「017~032」
- 3番めの 8回線用パッケージ には「033~040」
このようにパッケージを実装した場所ではなく、実装した早さの順番で内線の収容位置が決まります。
【5】NTTのアルファシリーズは電話機側のロータリースイッチ設定で「収容位置」が決まる
NTTのアルファシリーズのビジネスフォンは、多機能電話機側のスイッチ設定によって内線の「収容位置」が決まります。
この収容位置はアルファシリーズでは「TEN番号」と呼ばれ、3桁の数字で表します。
001から順番に002、003というふうに、多機能電話機の背面にある3つのロータリースイッチでTEN番号を設定します。
内線番号はTEN番号に対して紐付けられることになります。
多機能内線パッケージの回路上であれば、どこに接続しても同じ内線番号情報が保持されます。
逆に、もともと接続していた電話線に違う多機能電話機を接続すれば、違う内線番号で動作します。
【5-1】アルファシリーズ バス接続の場合
バス接続用の多機能内線パッケージ上にある方路上であれば、どこに接続しても同じ内線番号で動作します。
【5-2】アルファシリーズ スター接続の場合
スター接続用の多機能内線パッケージ上にある回路であれば、どこに接続しても同じ内線番号で動作します。
【6】アルファシリーズの多機能内線パッケージに接続できる台数 (スター接続)
- 10台
- 20台
【7】アルファシリーズの多機能内線パッケージに接続できる台数 (バス接続)
- 10台
- 20台
- 40台
【8】多機能内線用のパッケージによく付けられる型番
- DLC
- ELC
- ESI
- KLC
- SU
- BU
最後に
ビジネスフォン・PBXといえば、ボタンがたくさんついた多機能電話機を思い浮かべる人が多いことと思います。
そんな多機能電話機を接続するために、必要となる多機能内線パッケージは、ビジネスフォン・PBXに必須となるパッケージの一つと言えるでしょう。
最後までご覧いただきましてありがとうございます。