本サイトの【どれが電話の線?一般の従業員が注意すべき、電話機コードの取り扱い方】では一般従業員向けの注意を取りあげました。
本項目では実際に電話機コードを敷設するシステム管理担当者や設備管理担当者に向けて、その方法と注意点を解説します。
システム管理担当者や設備管理担当者が電話機コードを敷設する主なケースは、設置場所の移動による電話機コードの引き直しや、むき出しの電話機コードに足を引っ掛けるなど安全上のリスクが発生したケース等となるでしょう。
従って本項目ではこのケースに沿って記載していきます。
【1】電話機コードの引き方・その1~床配線~
【1】-1. 一般的な方法
床に電話機コードを敷設する場合はOAフロアの場合を除き、一般的には以下のいずれかの方法が取られます。
【1】-1-1. 人や台車等が通らない箇所を選んで敷設する
通路など人や台車等が通る場所に電話機コードがあると、容易に足が引っ掛かりケガの原因となるばかりでなく、電話機コードを傷める原因となります。
電話機コードの経路上に什器のすき間など、人や台車等が通らずかつ什器の邪魔にならない箇所を通すと良いでしょう。なお、ほこりの溜まりやすい場所でもありますので定期的に清掃をして下さい。
【1】-1-2. モールを敷設し配線する
配線の経路上、通路などを横切らなければならないこともあります。その場合は上面が丸形の床用モール(ワゴンタイプ)を使用すると良いでしょう。
ホームセンター等ではガードマンモール等の名称で販売されており、適当な長さに切って使うことができます。
床面にはモール貼付用のテープを貼って使います。壁沿いであれば、ワイヤプロテクタ等も使用できます。
敷設にあたっては、通行に邪魔にならない箇所を選ぶことが望ましいものです。
詳しくは「配線・配線整理のTSA」【ケーブルの配線整理の基本はやっぱりモールですね】をご参照下さい。
【1】-2. OAフロアの場合
OAフロアの場合はモールを使わず、床にあるパネルの下に敷設します。
経路上のパネルを全て取り外して配線するか、入口と出口を開放し呼び線を使って配線します。
詳しくは「配線・配線整理のTSA」【OAフロアの配線の仕方がわからん!OAフロアでの配線】をご参照下さい。
【1】-3. カーペット敷きの場合
床がカーペット敷きの場合も、基本的には「【1】-1-2. モールを敷設し配線する」の方法と同様です。
カーペットの下に電話機コードを隠して敷設するとカーペット表面に凸凹が発生し歩きづらくなる他、電話機コードを傷める原因となりますのでやめましょう。
但しフラットケーブルを使用する場合は、カーペットの下に敷設することもできます。
フラットケーブルは傷みやすいですから、なるべく折ったり曲げたりしないようにしましょう。
詳しくは「配線・配線整理のTSA」【とにかくモールを貼りたくない!フラットケーブルでカーペット下に配線】をご参照下さい。
【2】電話機コードの引き方・その2~壁配線~
【2】-1. 基本は壁用モールを敷設
床用モールは大きく重いため不向きです。壁用のエフモールを使いましょう。
机や棚の側面ならばスリットモールも使えます。本数が多い場合はエムケーダクトの検討も選択肢に入ります。
なるべく美観を損ねない色を選び、邪魔にならない箇所に敷設します。
詳しくは「配線・配線整理のTSA」【ケーブルの配線整理の基本はやっぱりモールですね】をご参照下さい。
【2】-2. 見ばえ等を気にしなくても良い箇所の場合
什器等に隠れて外から見えない箇所や関係者しか入らない箇所など、電話機コードを引っ張ったり引っ掛けたりするようなリスクが少ない箇所については、モールを敷設せず上から垂らすというのも一つの方法です。
この場合落下防止のために、電話機コードの上下をステープルやピン等で固定してはいけません。
電話機コードを傷める原因となります。
【3】電話機コードの引き方・その3~天井配線~
状況によっては、天井を経由して電話機コードを敷設しなければならないこともあるでしょう。
様々な吊り下げ用フックが市販されています。もちろんこれを利用するのも一つの方法ですが、電話機コードは細く軽いものです。
従って、いわゆるはてなフックを利用しても良いでしょう。
フックは落ちないよう、天井にしっかりと取り付けましょう。
また電話機コードを引っ張りすぎないように注意して下さい。
フックに力がかかり落下の原因となります。
敷設の際は脚立等を使用することになると思います。
脚立等から落下しないよう、十分に注意して下さい。
【4】電話機コードと電源コードを同じモール内に格納することは可能か?
「電気設備の技術基準の解釈」第167条第2項により、一般的に使用されている電源コードは低圧電線、電話機コードは弱電流電線とされています。
そして低圧電線と弱電流電線は「接触しないように敷設すること」と定められています。
従って、理論上は1mmでも離れていれば同じモール内に格納しても良いことになります。
とはいえ、実際に電話機コードと電源コードを同じモール内に格納すると、どうしても接触してしまうものです。
従って電話機コードと電源コードはそれぞれ別々のモールを敷設し、格納するようにしましょう。
【5】電話機コードを傷める敷設例
以下のような方法は電話機コードを傷めますので、やめましょう。
- ピンと伸ばして敷設する
- カーペットや物の下に敷設する
- 落ちないようにステープルやピン等で固定する
- フラットケーブルの敷設で、必要以上に折り曲げる(なるべくまっすぐに敷設する)
- 通路にむき出しで配線されている(踏まれたり足を引っ掛ける原因となります)
まとめ
どの場所を通すかによって、敷設するために必要な資材は異なります。
基本的には床や壁はモール貼付、天井の場合はフックで吊り下げが良いでしょう。
美観や通行の邪魔にならないか十分に配慮の上、敷設して下さい。
また全ての敷設箇所にモールが必要という訳ではなく、人や台車が通らない箇所、什器に踏まれない箇所はモールを貼らなくてもかまいません。
この点では、OAフロアの場合は床下に敷設すれば良いので簡単です。
なお、電話機コードと電源コードは接触防止のため、別々に敷設しましょう。敷設箇所の定期的な清掃も忘れないようにして下さい。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。