OD専用線パッケージはビジネスフォン・PBX同士をOD専用線接続するための基板です。(ODは「アウトバンドダイヤル」の略)
【1】OD専用線はインバンドリンガに接続ていたが、いまはVOIPゲートウェイが主流
昔はOD専用線といえば、信号を増幅するためにインバンドリンガという増幅装置に接続され、その先は4芯の専用線サービスに接続されていました。
現在はIPネットワークの普及が進み、専用線サービスに変わって、IPネットワーク上で構築されたVPNを利用されるようになりました。
専用線サービスに比べて、VPNを利用したほうがはるかにコストが安いからです。
不要となったインバンドリンガの代わりとして、今ではOD接続に対応したVOIPゲートウェイが用いられます。
【2】OD専用線パッケージとVOIPゲートウェイ間は6芯の電話線で接続
OD専用線パッケージとVOIPゲートウェイ間は、6芯の電話線で接続されます。
OD専用線で使用する6芯の電話線の内訳
- E線
- M線
- TA (SS0)
- TB (SS1)
- RA (SR0)
- RB (SR1)
E線とM線は専用線の起動に使用
E線 と M線 は、専用線の起動に使用します。
- 自局側の E線 と 対向局側の M線
- 自局側の M線 と 対向局側の E線
上記のように、自局側と対向局側のそれぞれのOD専用線パッケージに、E線・M線が接続されることで、専用線の接続が開始されます。
ちなみに E線はEar(耳)、M線はMouth(口)の頭文字からとったものです。
TA (SS0) と TB (SS1) は音声の送信で使用
TA (SS0) と TB (SS1) はの対向局への音声の送信で使用します。
- 自局側の TA (SS0) と 対向局側の RA (SR0)
- 自局側の TB (SS1) と 対向局側の RB (SR1)
このように接続されることで、自局側の送話 が 対向局側の受話 へと送られます。
ちなみに TA と TB の T は Talk (話す) の頭文字から、SS は Signal Send の略です。
RA (SR0) とRB (SR1) は音声の受信で使用
RA (SR0) とRB (SR1) は対向局側からの音声の受信で使用します。
- 自局側 の RA (SR0) と 対向局側の TA (SS0)
- 自局側 の RB (SR1) と 対向局側の TB (SS1)
このように接続されることで、対向局側の送話が、自局側の受話へと送られます。
ちなみに RA と RB の R は Recieve (受け取る) の頭文字から、SR は Signal Recieve の略です。
【3】OD専用線での通話時は、相手の番号は表示されない
OD専用線経由で通話をしても、残念ながら相手の番号は表示されません。
OD専用線は「個別線信号方式」
OD専用線では「個別線信号方式」と呼ばれる方式が採用されています。
「個別線信号方式」では音声信号と制御信号が同一の回線上で扱われるため、通話中に音声以外の情報 (発番号の情報など) を、同時に送受信することができないからです。
【4】OD専用線パッケージ1枚あたりに接続できる本数
- 2本
- 4本
【5】OD専用線のパッケージによく付けられる型番
- OD
- ODT
- TLI
最後に
OD専用線は4芯のアナログ専用線から、IPネットワークへと移行が進むにあたり、接続する装置も、インバンドリンガからVOIPゲートウェイへと代わりました。
古いビジネスフォン・PBXなどでは、インバンドリンガ内蔵のOD専用線パッケージもあったのですが、今はすっかり姿を消してしまいました。
OD専用線自体も、ビジネスフォン・PBXをリプレースする際に、SIP専用線などへの置き換えが進んでいるので、徐々にその数を減らしているのが現状です。
最後までご覧いただきましてありがとうございます。