ビジネスフォンの電話機が突然故障したことはありませんか?
故障した際には、次のような対応が必要となります。
- 故障した電話機を修理に出し、修理から戻ってきたら再度取り付ける
- 故障箇所の部品だけ交換する(ヘッドセットやカールコードなど)
- 一時的に別の場所の電話機と交換する
- 新しい電話機と交換する
ビジネスフォン業者に丸々おまかせすることもあれば、あなたが自分で交換することもあるでしょう。
ビジネスフォンの電話機は、交換するだけで使える機種もあれば、交換しただけでは使えない機種もあります。
え?
交換するだけじゃダメなの?
というわけで、このページでは、故障したビジネスフォンの電話機を自分たちで交換するときの【よくある注意点】についてまとめてみました。
たいていは取替えるだけでOK
ビジネスフォンでもっともよく使われている電話機は、通常「多機能電話機」と呼ばれるものになります。
電話線に接続するタイプの定番の電話機ですね。
このタイプの多機能電話機は、基本的には、故障した電話機と同じ型番の電話機を差し替えるだけで、同じように使用できるようになります。
あとは電話機に貼っているテプラや付箋、そして外線ボタンに入れている紙(示名条片)を移し替えるだけでOK。
しかし、一部の多機能電話機では設定を変更しなければ、同じように使うことができない機種もあります。
というわけで、次は設定変更が必要な電話機を取り替えるときの注意点について、順番に説明していきましょう。
多機能電話機本体の使用モードの切替が必要なときがある
多機能電話機の機種によっては、電話機本体の使用モードを変更しないと、取替前と同じように使えないこともあります。
例えば沖電気製の
- MKT/R-30DK
- MKT/G-30DK
といった電話機では、外線ボタン(ファンクションボタン)を、いくつかのモードに切り替えて使うことができる「キーモード」機能を持っています。
この「キーモード」を初期設定から何も変更せずに運用しているのであれば、取替後も変更する必要はありません。
しかし、キーモードを初期値から変更して運用している場合は、取り替えた電話機も同じように設定を変更しなければなりません。
(例)30個の外線ボタン(ファンクションボタン)がある多機能電話機のキーモード
- 20個の外線ボタン + 10個のワンタッチボタン【初期設定】
- 25個の外線ボタン + 5個のワンタッチボタン
- 30個の外線ボタン(ワンタッチボタンは無し)
たとえば、キーモードを
- 【30個の外線ボタン】
として運用中の多機能電話機を、故障で取り替えたとしましょう。
この場合、取替後の多機能電話機は初期設定である
- 【20個の外線ボタン+10個のワンタッチボタン】
として動作します。
もしも10個のワンタッチボタンの部分に、
- なんらかの機能が割り付けられている場合
そのボタンはワンタッチボタンとしてしか使えないため機能しません。
取替の際には、
- キーモードが正しく設定されているかどうか
念のため、外線ボタンをすべて押して動作を確認するようにしましょう。
液晶のバックライト色を変更する
液晶画面のバックライトの色を、何パターンかに切り替えられるタイプの多機能電話機もあります。
液晶のバックライト色を初期値から変更して使っている場合は、
- 取替後の多機能電話機は初期値で動作
するので、設定を取替前に合わせる必要があります。
NTTのα(アルファ)シリーズはロータリースイッチに注意
NTTのα(アルファ)シリーズのビジネスフォンの場合は、電話機を交換する際に電話機背面のロータリースイッチを設定する必要があります。
ロータリースイッチの番号によって内線番号が決まる
NTTのα(アルファ)シリーズは、他メーカーの機種と異なり、
- 電話線ではなく【電話機本体の設定】
によって内線番号が変わってきます。
取替え前の電話機と同じ内線番号を使いたいのであれば、
- 取替え前の電話機背面のロータリースイッチを同じように設定
すればOK。
ですので、電話機が故障したからといって、すぐに取り外したり破棄したりせず、まずは電話機背面のロータリースイッチを確認しておくようにしましょう。
ロータリースイッチを合わせずに接続してしまうと・・・
ロータリースイッチを合わせずに電話線に接続してしまうと次のようなことになります。
- 別の内線番号で立ち上がってしまう
- 立ちあがらない
ロータリースイッチのメリット・デメリット
- α(アルファ)シリーズの電話機は、多機能電話機の電話線であれば、どの線に差しても同じ内線番号で使える
- 電話機背面のロータリースイッチで内線番号が決まるので、電話機ごとでの把握が必要
α(アルファ)シリーズの多機能電話機は、ロータリースイッチに応じて内線番号が決まります。
どの線に接続しても同じ内線番号で使える、というメリットがある反面、取替えるときにはロータリースイッチに気をつけなければならないというデメリットもあるんですね。
一方、α(アルファ)シリーズ以外の多機能電話機には、ロータリースイッチがありません(一部例外はあります)。
だから基本的には同じ型番の電話機を差し替えるだけで使えるようになります。
α(アルファ)シリーズ以外の多機能電話機は、接続する電話線によって内線番号が決まります。
ですので、どこに差しても同じ内線番号で使う、ということはできません。
というわけで、α(アルファ)シリーズの多機能電話機を取替える際には、ロータリースイッチに注意してくださいね。
停電用の多機能電話機に注意
停電用の多機能電話機は通常の多機能電話機とパッと見だけでは判別が難しい
停電用の多機能電話機の外観は、通常の多機能電話機とほとんど同じです。
だから、パッと見ただけでは判別つかないんですね。
たいていはテプラなどで【停電用】など銘記することが多いのですが、もし銘記していなかった場合は、そのまま忘れ去られてしまうことも少なくありません。
そのような状態でもしも停電用の多機能電話機が故障したら?
気付かずに普通の多機能電話機に交換してしまった、なんてことにもなりかねません。
停電用と普通の電話機ではケーブルの接続が異なります
「停電用の多機能電話機」は通常の多機能電話機と違って、使用する電話線の芯線数が多くなります。
通常の多機能電話機であれば、「多機能電話機のライン」を接続するだけなので、2芯もしくは4芯の電話線で事足ります。
一方、停電用の多機能電話機の場合は、「多機能電話機のライン」に加え「停電用ライン」が必要となります。
芯線数が多くなれば、当然ケーブルの種類も違ってくるケースも出てきます。
下にいくつか例を挙げてみました。
- 2芯 スター接続
- 4芯 バス接続(L1・L2・L3・L4結線)
- 4芯 スター接続
- 4芯・2芯 スター接続・合計2本接続
- 6芯 スター接続
- 6芯 バス接続
- 8芯 スター接続
- 8芯 バス接続
6芯までの電話線(モジュラーケーブル)であれば、通常の多機能電話機を接続しても使えることができます。
逆に、6芯までの電話線(モジュラーケーブル)に接続していた停電用電話機を、通常の多機能電話機が接続されていた電話線(モジュラーケーブル)に接続しても使えます。
ただし、このような接続をした場合には、停電時に停電用ラインが接続されることがありません。
いざ停電になった時には、ただの「使えない多機能電話機」になるだけです。
そうならないためにも、故障した停電用の多機能電話機と、同じ型番の電話機を用意しなければならないのです。
ただし、停電用の多機能電話機をただしく接続していても、いざ停電になったときに正常に動作しないこともあります。
アナログ回線の停電電話機は回線種別を合わせる
たとえば、アナログ回線の停電電話機の場合、着信は受けられるけど、発信ができない、という現象が起こることがあります。
それは、電話機とアナログ回線の回線種別が合っていないからですね。
停電用のラインがアナログ回線の場合は、停電用の多機能電話機の回線種別をキチンと合わせる必要があります。
- ダイヤル回線なら「DP」
- プッシュ回線なら「PB」もしくは「MF」
アナログ回線用の停電電話機には、DP/PBの切り替えスイッチが必ずどこかについています。
もし、
- 着信はできるけど、発信できない
という現象に出くわした時には、接続するアナログ回線の回線種別に応じて、適切にDP/PBのスイッチを合わせるようにしましょう。
IP多機能電話機は電話機とビジネスフォン主装置側で設定が必要
IP多機能電話機の場合は、故障したらただ交換すればいい、というわけにはいきません。
IP多機能電話機は、通常の多機能電話機と違って、電話機そのものに対しての設定が必要になってくるからです。
IP多機能電話機側の設定
IP多機能電話機はLAN上で動作するので、パソコン等と同じように下記の項目の設定が必要となります。
- IPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
それ以外にも様々な項目の設定が必要となります。
これらはビジネスフォン工事会社が設定します。
ビジネスフォン主装置側の設定
IP多機能電話機はネットワーク端末のひとつなので、パソコンやプリンタ等と同じように「MACアドレス」という固有のアドレスが振られています。
ビジネスフォン主装置側はこの「MACアドレス」に対して「IPアドレス」や「内線番号」を紐付けて管理しています。
そのため、IP多機能電話機を取り替えると、当然「MACアドレス」も変わることになるわけですから、ビジネスフォン主装置側でも登録している「MACアドレス」を変更しなければならいのですね。
これらもやっぱりビジネスフォン工事会社が設定します。
ですから、IP多機能電話機が故障した際には、すみやかにビジネスフォン工事会社へお願いしましょう。
一般電話機は回線種別の設定が必須
一般電話機を故障で取り替える際は、
- 回線種別の設定
が欠かせません。
一般電話機はビジネスフォン配下では【アナログ内線】として使用するわけですが、アナログ内線にも回線種別があります。
- ダイヤル信号の場合は、DP
- プッシュ信号の場合は、PB(もしくはMF)
これらの回線種別を合わせておかないと、着信を受けることができても、発信することができなくなりますので、取替後はすぐに発信できるかどうかを確認するようにしましょう。
ワンタッチボタンの登録が必要な場合もある
一般電話機にワンタッチボタンがついている場合は、取替後の電話機にも同じように登録しなければなりません。
電話業務でよく使われる特番をワンタッチボタンに登録しているようなケースでは、取替後も同じように登録しておかないと、業務に支障をきたしてしまうこともあります。
取り替える前にワンタッチボタンの登録操作の方法や、登録されている内容を調べておくことをおすすめします。
PHSの故障取替時は、PHSとビジネスフォン主装置側の設定が必要
PHSを故障で取り替える場合は、
- PHSとビジネスフォン主装置側の双方の設定
が必要となります。
すべてのPHSには
- 【PS-ID】という9桁の固有の番号
が割り当てられています。
PHSを故障で取り替えると、この【PS-ID】も当然変わることになります。
ビジネスフォン主装置側では、この【PS-ID】と【PHSの内線番号】を紐付けて管理しています。
だから、PHSの取替の際には、ビジネスフォン主装置側のPS-IDの値を新しい番号に変更しなければなりません。
PS-IDの設定を変更したあとは、PHSアンテナを経由して、取替後のPHS子機に対して「エア書き込み」を実施することで、内線として使えるようになります。
PHS子機側は、故障したPHS子機と同じように各項目を設定します。
- 日時・時刻の設定
- 着信音、バイブレータの設定
- PHS子機が保持している短縮の再登録
- 履歴発信時の特番の自動付加(0発信など)
次にPHS子機で「SOモード」の操作を行い、ビジネスフォンに接続されているPHSアンテナから「エア書き込み」でPHS子機に、ビジネスフォン固有のSYS-IDなどの情報を書き込みます。
このように取替後のPHSに情報を書き込むことで、はじめて内線として使えるようになります。
最後に
今回は、故障した電話機を取替えるときの注意点について紹介しました。
故障などでビジネスフォンの電話機を取り替える必要がある場合には、
- 単純に新しい電話機に取り替えるだけで済む
こともあれば、
- ちょっとした設定変更が必要
だったり、あるいは、
- ビジネスフォン工事会社による作業が必要になる
ケースもあります。
もしも故障などで、あなた自身が電話機を取替える場面が出てきたときは、ぜひこのページに書かれている注意点を思い出してください。
最後までご覧いただきましてありがとうございます。