ビジネスフォンではPHSを内線電話機として使うことができるんです。
PHSは通称「デジタルコードレス電話機」とも呼ばれ、デジタル信号でワイヤレス通信を行う携帯端末のことです。
ちなみに「070」番号をもった公衆PHSについては、2018年3月末で新規受付が終了、2020年7月31日にサービスの提供が終了します。
しかし、ご安心ください。
ビジネスフォンで内線として使うPHSについてはまだまだ継続して活用いただけます。
というわけで、今回はビジネスフォンのPHSについて説明いたしますね。
PHSはビジネスフォン配下のアンテナの電波で動く
ビジネスフォンの内線として使うPHS子機は、公衆PHSとは違い電波を受信して動きます。
公衆PHSはキャリアが設置した基地局の電波で動くのに対し、内線PHSはビジネスフォン配下に設置された基地局の電波で動きます。
そのため、PHS子機を使いたいエリアには、PHSアンテナを設置する必要があるんですね。
PHSアンテナにはケーブル配線が必要
PHS子機と通信するために必須となるPHSアンテナには、ビジネスフォン主装置から有線で接続する必要があります。
PHS子機が必要となる場所に対して、そのエリアをカバーするべくPHSアンテナを設置することになるわけですが、言うまでもなくそれらすべてのアンテナに対してケーブルの配線が必要となります。
アンテナの台数が多ければ多いほど、配線するケーブルの本数は増え、利用エリアが広ければ広いほど、配線するケーブルも長くなります。
PHSアンテナ(デジタルコードレス基地局)の電波範囲
PHSアンテナ1台あたりの電波範囲は、
- 半径30m~50m程度
となっています。
電波の拡がり方としては、PHSアンテナを中心に同心円状へ拡がるイメージです。
建物の状況によっては電波状態が悪くなる場合も
PHSアンテナから出力される電波は、設置場所の環境によっては著しく悪くなることもあります。
たとえば次のような場所が挙げられます。
- 鉄筋の比率が多い建物
- ガラスで覆われた部屋
- コンクリートの壁が厚い部屋
上記のような環境にPHSアンテナを設置しなければならないときには、事前に入念な電波測定をしておくことをオススメします。
机上の空論だけで設置してしまうと、あとで設計変更しなければならなくなりますからね。
PHSアンテナ1台あたりの同時通話数
PHSアンテナ1台あたりに同時に接続できるPHS子機の台数は3台までとなっています。
下にいくつか例を挙げてみましょう。
PHS子機の同時通話数 | 必要となるPHSアンテナ数 |
---|---|
2通話 | 1台~ |
5通話 | 2台~ |
9通話 | 3台~ |
上記の表は「必要最小限」となるアンテナの数を記載したに過ぎません。
実際には、そのPHSアンテナの付近で【待受け状態にあるPHS子機すべて】をまかなえる数を確保することが望ましいですね。
ひとつ注意していただきたいのが、狭いエリアでアンテナを複数設置する場合には、アンテナとアンテナの間の距離をある程度あけておく必要があるということです。
なぜなら、あまりにもアンテナ同士の距離が近すぎると、電波が干渉して正常に動作しなくなることがあるからです。
これはメーカーや機種によって個体差があるため一概には言えないのですが、最低でも1m~2m程度は距離をあけて設置したほうがよいでしょう。
市販されている自営標準のPHS子機も使える
ビジネスフォンの内線として使用するPHS子機には次のような種類があります。
ビジネスフォン・PBXメーカーが独自に製造している【自営標準のPHS子機】
ビジネスフォン・PBX専用の【多機能PHS子機】
公衆PHS用として一般に市販されている【自営標準のPHS子機】
市販されているPHS子機には【黒ロム】と【白ロム】の2種類がある
市販品のPHS子機には【黒ロム】と【白ロム】の2種類があります。
- 公衆番号(070番号)を持っている【黒ロム】
- 公衆番号(070番号)を持っていない【白ロム】
【白ロム】のPHS子機は070番号を持っていないため、ビジネスフォンの内線としてのみ使用します。
いっぽう【黒ロム】のPHS子機は公衆番号(070番号)と内線番号の両方が使えるんですよ。
ビジネスフォン・PBXの機能に特化した多機能PHS
ビジネスフォン・PBXのメーカーが製造している専用の多機能PHS子機は、市販品の【黒ロム】のように070番号は持っていません。
そのかわり市販品のPHS子機と違って、ビジネスフォン・PBXの機能に特化しているため、市販品のPHS子機に比べてより便利な使い方ができるのです。
多機能電話機ライクな使い方ができる
ビジネスフォン・PBX専用の多機能PHS子機は、多機能電話機と同じようにファンクションキーや各種機能キーが実装されています。
そのため一般に市販されているPHS子機よりも、どちらかというと多機能電話機に近い感覚で利用することができるんです。
特にファンクションキーがあるのとないのとでは、使い勝手が大きく違ってきます。
多機能電話機と同じように外線ボタンを使った応答や取り次ぎができるので、とても好評なんですよ♪
PHS子機は広い場所で絶大な効果を発揮する
PHSは有線ではなく無線で通信を行うため、電波が届く範囲内であれば自由に動き回りながら通話することが可能です。
そのため常に動き回ることが多い環境で導入されるケースが多いんですね。
- 大型スーパー
- 病院
- ホテル
- 工場
- 倉庫
- その他大型施設
逆に言うと「PHS子機がないと業務が回らない」とも言えるかも知れません。
レイアウトフリー、アドレスフリー環境でも導入されるケースが増えている
最近ではオフィスのアドレスフリー環境構築のためや、レイアウト変更時の負担を減らすためなどにPHS子機を積極的に導入されるケースも増えています。
音声、データを問わずオフィスを無線化にする傾向が強くなってきているともいえますね。
最後に
今回は、ビジネスフォンやPBXで【PHS】を内線として使える、ということについて説明しました。
PHS子機は通常の固定電話機と違って無線で通信を行うため、電波さえ届く範囲であればどこでも内線で通話ができます。
そのため、とても重宝されやすいんですね。
反面、PHSの利用環境を整備するためには、各所にPHSアンテナを設置する必要があるため、相当なイニシャルコストを必要とします。
とはいえイニシャルコストさえクリアしてしまえば、次のようなメリットを活かすことで長期的にコストを削減することも可能です。
- レイアウト変更時の配線工事費削減
- どこでも内線通話ができるので、社内間の内線通話がより活発になる
- 電話対応時の人的工数の削減
- PHS子機なら配線が不要なので増設が簡単
「PHSありき」で業務が成り立っていケースもありますからね
実際、PHSでの運用に慣れてしまうと、もう固定電話機には戻れない、というケースも少なくありません。
ぶっちゃけ、PHSって超便利ですから
特に人手不足の現場ではその効果は絶大です。
検討する価値はあると思いますよ?
最後までご覧いただきましてありがとうございます。