落雷対策してますか?
落雷による年間の被害総額は、1000億~2000億円程度と言われています。(2002年時点)
落雷は完全に防げるようなものではありませんが、落雷による被害を減らすための対策を立てることは可能なんですよね。
- 落雷によってどのような被害がでるのか?
- どうやったら被害を減らせるのか?
- 簡単にできる対策はあるのか?
まずは落雷についての情報を知るところからはじめましょう。
落雷の被害がもっとも多い時期は?
落雷の被害がもっとも多い時期はずばり7月~8月です。
2005年~2011年の7年間に報告された落雷害は932件。
そのうちの50%以上が7月~8月の2ヶ月間に集中しています。
落雷の発生数が多い地域は?
落雷の発生地域を太平洋側と日本海側で分けると次のようになります。
- 太平洋側:60%
- 日本海側:40%
太平洋側のほうが日本海側よりも範囲が広いことから、落雷の発生数の合計も多くなるようですね。
太平洋側と日本海側では落雷が発生しやすい時期にも違いがみられます。
- 太平洋側:4月~10月が多い
- 日本海側:11月~3月が多い
太平洋側では気温が暖かくなる4月~10月の約7ヶ月間、日本海側では気温が寒くなる11月~3月の約5ヶ月間が雷が発生しやすい時期となっているようですね。
とはいうものの7月~8月は日本海側も落雷の報告件数が多いことから、やはり7月~8月は日本海側、太平洋側ともに警戒する必要がありそうです。
年間の雷日数が一番多い地域は?
気象庁より出典:http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder1-1.html
上記の図に記載されている【雷日数】は次の条件で統計されたものです。
- 全国各地の気象台で雷を観測したもの
- 1981年~2010年までの30年間の平均値
図に表記された地域を、雷日数が多い順番に並び替えると次のようになります。
観測地域 | 雷日数(年) | 太平洋側/日本海側 |
金沢 | 42.4日 | 日本海側 |
新潟 | 34.8日 | 日本海側 |
鹿児島 | 25.1日 | 太平洋側 |
宇都宮 | 24.8日 | 太平洋側 |
福岡 | 24.7日 | 日本海側 |
那覇 | 21.6日 | 太平洋側 |
名古屋 | 16.6日 | 太平洋側 |
大阪 | 16.2日 | 太平洋側 |
高知 | 15.2日 | 太平洋側 |
広島 | 14.9日 | 日本海側 |
東京 | 12.9日 | 太平洋側 |
仙台 | 9.3日 | 太平洋側 |
札幌 | 8.8日 | 日本海側 |
一番雷日数が多い地域は金沢の42.4日となっています。
意外な結果だと思いませんでしたか?
太平洋側のほうが雷の発生範囲は広いものの、雷日数は広範囲に分散されるようです。
一方、日本海側では一般的に雷が多いとされる夏場だけでなく、冬場でも雷が発生しやすいことから、年間の雷日数が多くなってしまうんでしょうね。
参考ですが、金沢(日本海側)と宇都宮(太平洋側)の月別雷日数の平年値は次のようになっています。
気象庁より出典:http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder1-1.html
太平洋側の宇都宮では7月~8月が突出して多くなっていますが、10月~3月の冬場ではほとんど発生していません。
日本海側の金沢では、11月~2月にかけての冬場での発生件数が多くなっています。
冬場だけでなく7月と8月、それ以外の時期にもコンスタントに雷が発生していることから、雷日数の多さがうかがえますよね。
夏と冬の雷の違いは?
夏と冬に発生する雷には次のような特徴の違いがあります。
- 雷発生の範囲が広い
- 雷発生の時間が長い、そのため落雷害の数も多い
- 夏の雷に比べて落雷害の数が少ない
- 雷の電気量が夏の雷よりも大きい
夏の雷のほうが広範囲にわたって長時間発生するため、落雷害の件数も多くなります。
しかし冬の雷のほうが1回の落雷での電気量が多く、夏の雷とのエネルギー差は最大で100倍にも達することがあるそうですよ!
その分、冬の雷は落雷すると被害が大きくなりやすいんですね。
落雷による被害額は?
落雷による年間の被害総額は2002年時点で、1,000億円~2,000億円と推定されています。
2002年に比べて、現在の通信インフラ環境や機器類は大幅に進歩しています。
- ブロードバンド回線の普及にともなう通信機器の増加
- 機器の高性能化
- 機器の省エネ化
- 基板の高密度化
通信機器だけでなく、家電製品やオフィス機器は省電力化が進んでいるため、電源まわりの作りはよりデリケートなものになっています。
このようなことから、落雷による年間の被害総額は2002年時点よりも多くなっていることが予想できますよね。
被害をもたらす落雷害の種類
落雷害は次の2種類に分けられます。
直撃雷
直撃雷とは名前の通り、雷が直接その物体に落雷する現象のことです。
直撃雷による放電電流は数kA(アンペア)~数百kA(アンペア)、電圧は数百万V(ボルト)といわれており、直撃雷を受けると当然ただではすみません。
ただ直撃雷を受ける確率はかなり低い(0ではない)です。
落雷が多い地域では建物ごともしくは専用の避雷針が設置されていることから、直撃雷による物理的な被害につながることはそれほど多くはありません。
直撃雷は防ぐのではなく、避雷針などを立てて、守りたい建物に落ちにくくすることが鉄則ですからね。
誘導雷(雷サージ)
落雷害で最も警戒するべきはこの【誘導雷(雷サージ)】です。
直撃雷は受けると甚大な被害をもたらしますが、直撃雷を受ける確率は非常に低いです。
一方、誘導雷(雷サージ)は落雷が直撃する現象ではありません。
誘導雷とは、雷放電や落雷した場所の周辺にある、電力線、通信線、アンテナなどに発生する二次的な過大電圧や電流(サージ)のことです。
誘導雷(雷サージ)はたとえ近くに落雷していなくても、数キロ先からでも電力線や通信線などを通じて通信機器やオフィス機器、家電製品などに被害をもたらします。
誘導雷(雷サージ)は広範囲に多くの被害を与えますので、
落雷での被害=誘導雷(雷サージ)
といっても過言ではありません。
では、この誘導雷(雷サージ)はどうやって防げばいいのでしょうか?
誘導雷(雷サージ)への対策
ここでは、誘導雷(雷サージ)を防ぐための対策として、電気、電話、LANの3種類のケーブルに絞って紹介しますね。
まずは電気から紹介しましょう。
【電気】の誘導雷(雷サージ)対策
電気を誘導雷(雷サージ)から守るには、雷ガードがついた電源タップがおすすめです。
とはいうものの、雷ガード付きの電源タップは多くの種類が発売されているので、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
そこでどんな雷ガード付き電源タップを選べばいいのか、押さえておくべきポイントを挙げてみましょう。
- 最大サージ電圧
- 最大瞬時電流
- 制限電圧
- 反応時間
- エネルギー耐量
- 動作ランプの有無
各項目について順番に説明していきますね。
最大サージ電圧は耐久できる誘導雷(雷サージ)の最大電圧のことです。
落雷による誘導雷(雷サージ)はおよそ1,000V~数万Vに及びますので、最大サージ電圧はできるだけ高い数値の製品を選ぶようにしましょう。
最大瞬時電流は耐久できる誘導雷(雷サージ)の瞬間的に発生する電流のことです。
誘導雷(雷サージ)では最大20kA(アンペア)の電流が瞬間的に流れますので、最大瞬時電流は20kA以上の製品を選ぶようにしましょう。
制限電圧はタップに内蔵しているバリスタに規定の電流が流れたときの電圧のことです。
制限電圧は低いほうが性能がいいので、制限電圧以外のスペックが同じならば、制限電圧が低いほうの製品を選ぶようにしましょう。
誘導雷(雷サージ)は発生してから8マイクロ秒で電流がピークになります。
反応時間は誘導雷(雷サージ)を検知してから実際にガードするまでの時間です。
反応時間は誘導雷(雷サージ)がピークになる8マイクロ秒よりも短い時間の製品を選ぶようにしましょう。
エネルギー耐量は、雷ガードタップがどの程度までの熱量(J:ジュール)まで耐えられるかという耐久性を示したものです。
エネルギー耐量は他のスペックとの兼ね合いもありますが、600~700J(ジュール)以上の製品を選ぶようにしましょう。
雷ガード機能が正常に動作しているかどうかを確認できる動作ランプがある製品を選ぶようにしましょう。
雷ガードの限界を超えるような誘導雷(雷サージ)が流れてしまうと、雷サージを軽減するための素子が破壊されて、雷ガードとしての機能を果たせなくなります。
その判別をするのに役に立つのが動作ランプなんですね。
雷ガード付き電源タップは基本的には使い捨ての保険のようなものです。
落雷後に動作ランプは消えてしまったものの、他の機器が無事なのであれば、雷ガードがちゃんと仕事をした、ということになりますよね。
でも、やっぱり壊れずにガードしてくれるのが一番です!
次はおすすめの雷ガード電源タップを紹介しましょう。
1口タイプの雷ガード電源タップ【HS-A1234W】
最大サージ電圧 | 60,000V |
最大瞬時電流 | 20,000A |
制限電圧 | 650V |
反応時間 | 1ナノ(10-9)秒 |
エネルギー耐量 | 720ジュール |
動作ランプ有無 | あり |
【HS-A1234W】は1口しかないタイプですが、最大サージ電圧や最大瞬時電流など、全体的なスペックが高い製品です。
通常の電源タップと組み合わせて使用するのがおすすめです。
【電話】の誘導雷(雷サージ)対策
電話線からも誘導雷(雷サージ)が流れ込んでくるケースも当然あります。
屋外ケーブルが張り巡らされているような工場やゴルフ場などでは、毎年のように落雷による被害が発生していることも少なくありません。
電話線でこのような被害を防ぐためには、屋外から引き込まれる電話線に避雷器と呼ばれる雷防護のための端子を取り付けます。
しかし、落雷が多い地域では避雷器だけで誘導雷(雷サージ)を防ぎきれないことも当然あります。
このような場合は、別途、誘導雷(雷サージ)用の機器を導入します。
サンダーカットA-2
サンダーカットA-2は2回線までのアナログ回線を誘導雷(雷サージ)から防ぐことができる製品です。
最近ではひかり電話の普及が進んできているので、ホームゲートウェイやVOIPゲートウェイのような通信機器が設置されることも増えてきましたよね。
落雷時の誘導雷(雷サージ)が電力線を通って、ホームゲートウェイやVOIPゲートウェイに接続された電話線にまで回り込むケースも十分考えられるわけです。
電話線に接続された電話機だけならまだしも、ビジネスフォン主装置やPBX、複合機FAXのような高価な機器にまで被害が及ぶと目も当てられませんよね。
そんなことにならないためにも、サンダーカットA-2で誘導雷(雷サージ)対策をしっかりと施しておきましょう。
サンダーカットハイブリッド
サンダーカットハイブリッドは2段構えの組み合わせで、誘導雷(雷サージ)が通信機器への被害を遮断します。
- 【耐圧トランス法】で誘導雷(雷サージ)の高電圧成分を遮断
- 【バイパスアレスタ法】で通信線~電力線間で誘導雷(雷サージ)をバイパス
2回線までのアナログ/ADSL回線、もしくは2回線までのINS64回線を誘導雷(雷サージ)から守ることができますよ。
サンダーカットハイブリッドに関しては次の記事も参考にどうぞ。
LANの誘導雷(雷サージ)対策
電気や電話だけでなく、LANケーブルも当然誘導雷(雷サージ)の対象となり得ます。
電気や電話線の場合は、古くから使われている分、誘導雷(雷サージ)対策製品が多く存在しています。
一方、LANケーブルの誘導雷(雷サージ)関連製品は、電気や電話に比べるとそれほど多くはありません。
加えて屋外配線されたLANケーブルに対して誘導雷(雷サージ)対策を施すという認識が薄いことも製品が少ない原因ではないでしょうか。
しかし、近年においてLANケーブルに接続された通信機器は、社会的に重要な役割を果たしていることが多いです。
そのように重要な機器が誘導雷(雷サージ)で故障してしまうことは避けたいところですよね。
ガーディアンネット LAN-1000IS-2
【LAN-1000IS-2】はギガビットLANの通信に対応したLAN用SPD(避雷器)です。
15.0kV以上(1.2/50μs)の誘導雷(雷サージ)にも耐えられる設計になっています。
屋外配線されたLANケーブルの両端や、重要なサーバーやパソコン端末、基幹ルーターやスイッチングハブなど、要所要所に取り付けておくと、いざというときに安心ですよ。
最後に
最後に落雷についておさらいしましょう。
- 落雷の被害が一番多いのは7月~8月
- 落雷の発生地域は太平洋側が60%、日本海側が40%
- 雷日数がいちばん多いのは「金沢」
- 夏の雷は広範囲で数が多い
- 冬の雷は夏の雷の最大100倍のエネルギー
- 落雷による年間被害総額は推定1,000億~2,000億(2002年時点)
- 落雷には直撃雷と誘導雷(雷サージ)の2種類がある
- 直撃雷は被害が甚大だが、実際に直撃する確率は低い
- 誘導雷(雷サージ)は落雷地点から数キロの広範囲に被害を及びす
- 誘導雷(雷サージ)は雷ガード製品で被害を減らせる
- 電気、電話、LANごとに雷ガード製品がある
落雷による被害でいちばん多いのは誘導雷(雷サージ)によるものです。
誘導雷(雷サージ)は雷ガードなどのSPD(避雷器)製品で被害を軽減できますので、雷シーズンに突入する前に導入してみてはいかがでしょうか。
また、この時期にビジネスフォンの更新を検討されている場合は、誘導雷(雷サージ)対策もあわせて実施されることをおすすめします。
ビジネスフォンを更新してすぐに誘導雷(雷サージ)で故障してしまった、なんてことも実際ありますからね。
まずは気軽にお問い合わせしてみましょう。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。