落雷や計画停電の影響で建物が停電になると、ビジネスフォン・PBXはどうなるのか?
収容する外線の種類やビジネスフォン・PBXのバッテリーの有無によって施す停電対策もそれに伴い変わってきます。
収容する外線がメタル回線(アナログ回線/INS64回線)収容時の停電対策
メタル回線(アナログ/INS64)をビジネスフォン・PBXに収容して運用中
通常の電話回線(メタル回線)をビジネスフォン・PBXに収容して運用しているとします。
メタル回線なので、アナログ回線かINS64回線のいずれかになります。
停電が発生し電源供給ストップ
停電になると当然電源の供給はストップします。
しかし、メタル回線(アナログ回線、INS64回線)の供給はストップしません。局の交換機から電源の供給を受けているからです。
停電でもビジネスフォン・PBXの内蔵バッテリーでとりあえず動作
ビジネスフォン・PBXに内蔵バッテリーを実装しておくことで、メタル回線(アナログ回線、INS64回線)を通常通り利用することが可能になります。
ビジネスフォン・PBXには通常の基本構成時には10分程度の短時間対応のバッテリーが初実装されています。
オプションの長時間(3時間程度まで)対応のバッテリーを実装しておけば、停電が復旧するまでの間、あるいは1~2時間程度の計画停電の間も問題なく電話を利用できる計算になります。
多機能電話機や一般電話機などの内線電話機はビジネスフォン・PBXから電話線を通じて電源供給を受けるので通常通り利用可能です。
ただし、FAXなどの外部電源を必要とする機器に関してはビジネスフォン主装置から給電を行うことはできません。
ビジネスフォン・PBXからの電源供給を受けられない端末にはリチウムイオン蓄電池で別途対応
ビジネスフォン・PBXから給電できない端末(FAXなど)にはリチウムイオン蓄電池などの停電でも電源を供給可能な機器を別途用意しておくことで、停電時にも機器を利用することができます。
AC電源→リチウムイオン蓄電池→給電させたい機器、という順番に接続することで、停電時にはリチウムイオン蓄電池からの給電に自動的に切り替わります。(停電していない時は、リチウムイオン蓄電池は充電を行います)
リチウムイオン蓄電池は容量に応じたモデルを導入するようにしましょう。(FAXや複合機などの機器類を動作させるためには大きめの容量のモデルが必要になります)
停電自動切替機能で特定の内線に局線を直結
停電になり、ビジネスフォン・PBXの内蔵バッテリーも空になるとビジネスフォン・PBXも動作しなくなります。
ビジネスフォン・PBXがシステムダウンしたときに、停電自動切替機能を使うことで特定の内線に電話回線をダイレクトに接続することができます。
停電時に使う電話機は一般電話機もしくは停電対応の電話機のいずれかになります。ただしINS64回線の場合はINS64対応の停電電話機が必要になります。
停電から復電したときには停電電話機の通話が終わってから、通常通りの接続に自動的に切り替わります。
INS1500回線収容時の停電対策
INS1500回線をビジネスフォン・PBXに収容して運用中
今度はINS1500回線をビジネスフォン・PBXに収容して運用しているケースです。
INS1500回線は光ファイバーで引き込み後、INS1500用DSUに接続してメタル線(4芯)に変換されビジネスフォン・PBXに収容されます。
INS1500用DSUには別途電源が必要となります。
停電時にはINS1500用DSUの動作がストップ
停電になるとINS1500用DSUへの給電が止まるので、当然回線が利用できなくなります。
ビジネスフォン・PBXの内蔵バッテリーが動作していても、内線同士の通話しかできなくなるので外部との通話ができません。
ビジネスフォン・PBX主装置からINS1500用DSUに電源を供給
INS1500用DSUは直流-48Vでも動作するので、ビジネスフォン・PBXに-48Vの電源を出力できる端子が実装されていれば、その端子からINS1500用DSUに給電させることが可能です。
ビジネスフォン・PBXのバッテリーが無くなるまでINS1500用DSUにも給電されるので、外線だけが使えなくなるということにはなりません。
ひかり電話などのIP電話収容時の停電対策
ひかり電話をVoIPゲートウェイ経由でビジネスフォン・PBXに収容して運用中
メタル回線(アナログ回線、INS64回線)ではなく、ひかり電話をVoIPゲートウェイ経由でビジネスフォン・PBXに収容しているケースです。
ひかり電話は光回線を使ったIP電話サービスなので、ONUが必ず設置されます。
ONUとVOIPゲートウェイ(図ではOG400Xa)にはそれぞれAC100Vの外部電源が必要となります。
停電時にはONUとVOIPゲートウェイが使えなくなります
停電になるとONUやVOIPゲートウェイ(図ではOG400Xa)に電源が供給されなくなるので、ひかり電話などのIP電話は当然利用できなくなります。
ビジネスフォン・PBXは内蔵バッテリーで停電後も一定時間は動作し続けますが、電話回線が利用できない状態なので外部との通話はできません。
ONUとVOIPゲートウェイにUPSを接続
ひかり電話などのIP電話に必要となる機器(ONU、VOIPゲートウェイなど)に別途UPSを接続することで、停電後もUPSから電源供給を受けることができます。
ただしUPSは電源容量があまり大きくないので、消費電力の大きい機器の接続には向きません。ビジネスフォン・PBXに内蔵しているバッテリーが長時間タイプだった場合には、ONUとVOIPゲートウェイが先に使えなくなってしまいます。
大規模容量タイプのリチウムイオン蓄電池を接続
大規模容量タイプのリチウムイオン蓄電池を必要な機器すべてに接続することで、停電時にも給電を受けて動作することが可能になります。
大規模容量タイプのリチウムイオン蓄電池は非常に高価(100万程度)な商品となりますので、重要度の高い機器を選んだ上で導入することをおすすめします。
ひかり電話オフィスA~一括転送機能と故障・回復通知機能~
ひかり電話オフィスA限定になりますが、停電時や光ケーブルの障害時などにひかり電話が利用できなくなった場合に次のサービスをご利用いただけます。(別途契約が必要です)
[一括転送機能]
税込3,300円(1利用回線毎)が毎月必要となります。
このサービスを契約しておくことで、事前に登録した電話番号へ不通時に自動的に一括転送させることができます。
[故障・回復通知機能]
税込3,300円(1利用回線毎)が毎月必要となります。
このサービスを契約しておくことで、事前に登録したメールアドレスへ自動的に通知メールを送信します。
- 故障時には故障通知メールを自動的に送信します。
- 回復時には回復通知メールを自動的に送信します。
ビジネスフォンの停電対策まとめ
- ビジネスフォン・PBXに長時間対応の内蔵バッテリーを実装する。
- メタル回線(アナログ回線、INS64回線)には停電対応電話機を接続可能。
- 小型機器にはUPSを接続する。
- 大型機器にはリチウムイオン蓄電池を接続する。
- INS1500回線にはビジネスフォン主装置から直流電源(-48V)を接続する。
- ひかり電話オフィスAは「一括転送機能」「故障・回復通知機能」が利用可能。
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