- ビジネスフォンでコードレス電話機を使いたい。
- でもどんな種類のコードレス電話機があるのかよくわからない。
ビジネスフォンでは様々な種類の電話機がラインナップされていますが、その中にコードレス電話機ももちろんあります。
コードレス電話機にも様々な種類があります。
- 受話器部分がコードレスになったタイプのカールコードレス電話機
- PHSアンテナから電波を受信するデジタルコードレス電話機(PHS)
- アンテナと子機が1対1で接続されるタイプのシングルゾーンコードレス電話機
など、最近ではスマホを内線として使う、というようなケースもあります。
ビジネスフォンでコードレス電話機の導入を検討している方は、まずはこのページを読んでどんな種類のコードレス電話機があるのかを御覧ください。
すでに導入しているけれども、変更を余儀なくされているなどでお困りの方は、他にどんな選択肢があるのかをこのページを読んで参考にしてくださいね。
1. 家庭用コードレス電話機
家電量販店やネットで簡単に手に入るのが、家庭用コードレス電話機です。
家庭用コードレス電話機は次のような機器や回線につないで使うことができますよ。
- ひかり電話のホームゲートウェイ(VOIPゲートウェイ)
- ビジネスフォンのアナログ内線
- INS64回線が接続されたTA(ターミナルアダプタ)
- アナログ回線(一般加入電話)
家庭用コードレス電話機は一般電話機とよばれるアナログ接続タイプの電話機なので、多機能電話機のようにビジネスフォンのメーカーや機種に依存されることはありません。
ただし、ビジネスフォン主装置にアナログ内線パッケージが実装されている、もしくはアナログ内線回路が主装置に内蔵されている必要がありますので、そこだけは注意してくださいね。
アナログ電話機をメインの内線として利用されている環境では、電話機を差し替えてちょっとした設定調整するだけで使えるので、意外と人気があります。
2. カールコードレス電話機
カールコードレス電話機とは、受話器部分がコードレスになった、ビジネスフォン専用の電話機です。
子機には必要なボタンや画面がついている
多機能電話機の受話器部分がコードレスになっただけ、というわけではなくて、受話器部分だけでも独立して使えるように、機能ボタンやファンクションボタン、液晶画面などがついています。
待機中に親機から離れていても多機能電話機と同じように使える
電波の届く範囲内であれば、電話機の親機本体から離れた場所に置きっぱなしにした状態で、着信を受けることはもちろん、電話をかけることもできます。
親機から離れていても、外線に着信したときには、受話器部分からちゃんと着信ベルが鳴動しますし、外線ボタンもピカピカ点滅します。
着信点滅中のピカピカ光る外線ボタンを押せば、多機能電話機と同じような感覚で着信に応答できるのでとても便利なんですよ。
保留の取り次ぎも簡単
受話器に保留ボタンや外線ボタンがついているので、保留の取り次ぎも簡単にできます。
- 通話中に保留ボタンを押す
- 通話が保留され、外線ボタンが点滅する
- 近くのひとに声をかけ、保留中の外線ボタンを押してもらう
あるいは、そのまま受話器を渡してしまってもいいですよね?
充電を忘れずに!
カールコードレスタイプの受話器は通話が少なければ、1日くらいは充電しなくても大丈夫です。
しかし、フル充電するためには半日以上かかりますので、できれば待機中は親機に置いて充電しておくよう心がけましょう。
充電池の寿命にも注意
受話器の充電池がヘタってくると、充電池のマークは満タンなのに、通話中にすぐに電池がなくなって切れてしまう、というような症状が出てきます。
そのようなときは一度充電池を取り外して様子を確認してみてください。
電池がプクっと膨れていることと思います。
このような場合は、速やかに電池を手配して交換することをおすすめします。
2種類の無線通信方式
カールコードレス電話機には2種類の無線通信方式があります。
まず1つ目は【Bluetooth方式】です。
Bluetooth方式
Bluetooth方式を採用しているタイプのカールコードレス電話機は、2.4GHz帯の周波数を使って親機と受話器間の通信を行います。
Bluetoothの通信距離はClassという規格により3つの距離に分けられます。
Class1 | Class2 | Class3 |
100mW | 2.5mW | 1mW |
約100m | 約10m | 約1m |
Class1なら100mもの距離で通信できますが、多くの機器で採用されているのは【Class2】です。
Class2は表でも分かる通り、通信距離は約10mとなっています。
倉庫や工場など、広い建物内では力不足かもしれませんが、事務所内や会議室、応接室内などであれば、10mもあれば十分ではないでしょうか。
そしてBluetooth方式の大きな特徴の1つに【ペアリング】があります。
ペアリングとはBluetoothに対応している機器同士を無線で紐付けることです。
一度ペアリングを行ってしまえば、その登録情報はお互いに残るので、それ以降のペアリング操作は必要ありません。
そして、カールコードレス電話機でも同じくペアリングによる機器登録が可能です。
たとえば、カールコードレス受話器の代わりに、Bluetooth対応のヘッドセットを登録する、なんてこともできるんですよ。
Bluetooth対応のワイヤレスヘッドセットなら、両手が自由に使える上、コードに縛られることもないので、電話受付業務をしながら探し物をすることが多い人にピッタリのアイテムといえますよね。
そして2つ目は【DECT準拠方式】です。
DECT準拠方式
DECTとは【Digital Enhanced Cordless Telecommunications】の略で、1988年にヨーロッパで策定されたデジタルコードレス電話の規格です。
そしてDECT準拠方式は、2011年3月に新しく策定されたデジタルコードレス電話の規格で、ARIB(一般社団法人電波産業会)の標準規格【ARIB STD-T101】に準拠しています。
Bluetoothが使用する電波の周波数帯は2.4GHzなのですが、この周波数帯は何かと干渉する電波が多いところがネックなんですよね。
中でも無線LANや電子レンジ等の影響を受けやすいですね。
それに対して、DECT準拠方式が使用する電波の周波数帯は1.9GHz。
2.4GHz帯よりも広帯域で通信できる上、無線LANや電子レンジの影響を受けないことから、Bluetoothに比べて通信が安定しているのが特徴です。
家庭用のコードレス電話機などでも、DECT準拠方式が採用されているんですよ。
3. アナログコードレス電話機
アナログコードレス電話機はアナログ信号の無線で通信を行うビジネスフォン専用の電話機です。
ビジネスフォンの多機能内線用の回路に接続するので、多機能電話機の一種になります。
アンテナと子機間はアナログ無線で通信を行うので、電波範囲が広い反面、ノイズに弱いという特徴があります。
アンテナと子機は1対1での接続になるので、子機だけもう1台増やす、ということはできません。
1台で広い範囲をカバーしたいときなどに利用されるのが、アナログコードレス電話機なんですね。
4. デジタルコードレス電話機(PHS)
デジタルコードレス電話機はいわゆる【PHS】と呼ばれる電話機のことです。
ビジネスフォン主装置に接続されたPHSアンテナから電波を受信して内線通話を行うので、PHSアンテナの電波範囲内であれば、どこからでも自由に内線通話が可能ですよ。
PHSアンテナとPHSは1対1というわけではなく、多対多の運用となりますので、あとからPHS子機だけ増設したり、PHSアンテナを増設したりもできます。
PHSアンテナ1台あたり、同時3通話まで可能となってますので、同時通話数が多いエリアではPHSアンテナを複数設置、少ないエリアでは1台だけ、というような感じで設置するんですよね。
ビジネスフォンで使われるデジタルコードレス電話機は、いわゆる【白ロム】と呼ばれる公衆網契約されていないPHSが主流となっています。
中には公衆網契約されている【黒ロム】のPHSをビジネスフォンの内線として使うこともあります。
黒ロムPHSは社内にいるときは【内線】として、社外にいるときは【携帯】として使えるので、内線PHSと携帯の2台持ちをしなくていいことから、経済的で実際評判いいんですよね。
しかし残念なことに、ワイモバイルがPHSの新規受付・機種変更を終了することになったので、2018年3月以降は黒ロムPHSが手に入らなくなるんです。
ワイモバイル2018年3月にPHSの新規受付・機種変更終了
ワイモバイルが2018年3月に新規受付・機種変更を終了することから、黒ロムPHSを内線としても使っている会社様では、今後の対応にさぞ頭を痛めていることでしょう。
今使っている黒ロムPHSが故障してしまったら、もうそれまでなので次の手を考えないといけませんよね。
- 【1】内線PHSとは別にスマホ・携帯を新たに支給するのか
- 【2】スマホ・携帯を使った各種FMCサービスへ移行するのか
- 【3】PHSの使用をあきらめるのか
【1】の選択の場合は、黒ロムPHSを壊れるまで使い続け、故障したタイミングで白ロムPHSと携帯(スマホ)へと移行。
そしてビジネスフォン・PBX更新時期が来るまでに具体的にどうするかを検討する、といったところでしょう。
【2】の選択では、PHSをやめてスマホ・携帯へ移行し、ビジネスフォン・PBXとはFMCサービスで内線通話を行います。
この場合、現状のビジネスフォン・PBXのままでは対応が難しいと思われるので、機器の更新が必要になるでしょう。
すでに設置されているPHSアンテナは当然使い物になりません。
また、黒ロムPHSの運用に比べてランニングコストは間違いなく上がることでしょう。
【3】の選択は、これを機にPHSでの運用をやめてしまおう、というものです。
内線PHSでの運用はあきらめて、携帯(スマホ)を別途支給する。
こういう割り切り方もあるかもしれませんが、なんだか釈然としませんよね?
スマホを内線として使える【Carrity-BR】
Carrity-BRは、次のNEC製ビジネスフォン・PBXで使えるカードタイプのPHS端末です。
- Carrity-BRでPHSアンテナから電波を受信
- Carrity-BRからBluetoothでスマホ(iPhone、Android)に接続
- スマホで内線着信を受けられる(発信もできる)
このように、スマホをPHS子機として使えるようにするためのPHSカード、それがCarrity-BRなんです。
スマホ(iPhone、Android)には次のアプリをインストールします。
iPhoneアプリ【ST450】
Androidアプリ【ST465】
- UNIVERGE Aspire UX
- UNIVERGE SV9300
- UNIVERGE SV9500
NEC製ビジネスフォン・PBXを利用中、あるいは取り替えを検討されているのであれば、Carrity-BRを選択する、ということも考慮してみてはいかがでしょうか。
5. 多機能デジタルコードレス電話機(多機能PHS)
多機能デジタルコードレス(多機能PHS)は、多機能電話機のようにファンクションキーなどの機能ボタンがついたPHSのことです。
外線ボタンや保留ボタンなどの各種キーを、8個あるファンクションキーに割り付けられるので、多機能電話機に近い使い方ができて、とても便利なんですよ。
多機能PHSは各ビジネスフォン・PBXメーカーが独自に開発したものなので、普通のデジタルコードレス(PHS)のような公衆網契約がある黒ロムPHSはありません。
白ロムのみとなっています。
6. 卓上型デジタルコードレス電話機(卓上型PHS)
卓上型デジタルコードレス電話機は、上の写真のように多機能電話機のかたちをした多機能PHSです。
別途電源を必要としますが、電話線がいらないので、電波のとどく範囲内であれば、どこでも自由に使えるというメリットがあります。
とてもユニークな電話機ですよね。
7. シングルゾーンコードレス
シングルゾーンコードレス電話機はアンテナと子機が1対1で紐付いたデジタルコードレス電話機です。
アンテナまではビジネスフォン主装置から電話線で接続しますが、アンテナから先は無線での通信となるので、電波のとどく範囲であればどこでも通話できますよ。
カールコードレスタイプの電話機が親機本体と受話器がセットなのに対して、シングルゾーンコードレス電話機はアンテナと子機にすがたを変えたもの、と言い換えることもできますね。
8. スマホ・携帯
スマホ・携帯をビジネスフォンのコードレス電話機として利用することもできます。
スマホ・携帯をビジネスフォンの内線として使うには、次の3つの方法があるんですね。
オフィスリンク(NTTドコモ)
ビジネスコールダイレクト(KDDI)
ホワイトオフィス(ソフトバンク)
メリット
- 全国どこでもスマホ・携帯を使って内線番号による定額通話が可能
- 3G/LTE網を使うのでPHSアンテナのような設備投資が不要
デメリット
- 1内線番号ごとに月額料金がかかる
- FMC対応ビジネスフォン・PBXにFMC用のアクセス回線が必要
メリット
- 3G/LTE網を利用すれば無線LAN構築の費用が不要
- 内線通話は無料(別途パケット料金はかかる)
- 外出先のスマホからでも会社の番号を通知して電話をかけられる
デメリット
- SIPクライアントアプリの電池消耗が激しいため、スマホの電池がすぐに無くなる
- 無線LAN構築の場合は相応の費用がかかる
- ルーターによるVPN構築が必要
メリット
- 3G/LTE網で通話するのでアンテナなどの設備投資が不要
- 導入が簡単
デメリット
- スマホに入れる専用アプリの登録に別途費用がかかることがある
- ナンバーディスプレイ契約した電話回線が必要
- 定額通話契約をしていない場合は、内線通話のたびに通話料金がかかる
それぞれメリット、デメリットはありますが、まとめると次のような感じでしょうか。
【1】をおすすめするケース【社内・社外を問わずにスマホ・携帯を使った社内連絡が多い】
【2】をおすすめするケース【社内・社外を問わずにスマホ・携帯を使いたいが、ランニングコストも抑えたい】
【3】をおすすめするケース【利用台数、頻度ともに少ないが、スマホ・携帯から会社の番号を利用したい】
最後に
ビジネスフォンのコードレス電話機にはたくさんの種類がある!ということがおわかりいただけたかと思います。
コードレス電話機はほんとうに便利なものなので、ビジネスフォンの更新後も同じようにコードレス電話機を導入する、というケースが大部分を占めるんですよね。
白ロムPHSなんかは特にそうです。
もうPHSじゃないと仕事にならないんですよね。
というわけで、今お使いのビジネスフォンでコードレス電話機を導入する場合は、メーカー名や型番を確認した上で、ビジネスフォン工事会社に問合せするといいでしょう。
また、取り替えや新規での導入を検討されている方は、複数のメーカーや機種のパンフレットを見て、見積もりを取るようにしましょう。
インターネット回線やひかり電話、携帯プランや複合機などの見直しも同時にすることで、導入後のランニングコストを削減しつつ、使い勝手もよくすることも可能ですよ。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。