- ビジネスフォンとは?
- PBXとは?
【ビジネスフォン】や【PBX】という言葉を聞いたところで、「何それ?」とか「おいしいの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。(おいしいと思う人はいない)
「会社で使っている、ボタンがたくさんついた電話機」
といったほうがピンとくるかもしれませんね。
多くの会社で当たり前のように使われている、あのボタンがたくさんついた電話機。
あのボタンがたくさんついた電話機には、さきほど申し上げた【ビジネスフォン】や【PBX】が関係しているのです。
- 1. なぜ会社ではビジネスフォンを使うことが当たり前なの?
- 2. ビジネスフォンの基本は「内線」と「外線」そして「主装置」
- 2-1. ビジネスフォンの内線とは?
- 2-2. ビジネスフォンの外線とは?
- 2-3. ビジネスフォンの主装置とは?
- 2-3-1. 内線と外線は主装置に接続
- 2-3-2. ビジネスフォンの主装置は「筐体」と「パッケージ」で構成されている
- 2-3-3. ビジネスフォン・PBXの【筐体】とは
- 2-3-4. ビルディングブロック方式とは
- 2-3-5. 筐体1つあたりのシステム容量
- 2-3-6. ビジネスフォン・PBXの【パッケージ】とは
- 2-3-7. パッケージの種類
- 2-3-8. 必要なパッケージを筐体に実装
- 2-3-9. 【CPUパッケージ】は、必ず筐体の基本架に実装する
- 2-3-10. CPU以外の【制御系パッケージ】を実装する
- 2-3-11. 【内線系】パッケージを筐体に実装する
- 2-3-12. 【外線系】パッケージを筐体に実装する
- 2-3-13. 【専用線】パッケージを筐体に実装する
- 2-3-14. 【機能系】パッケージを筐体に実装する
- 2-3-15. ビジネスフォンはデータ設定が命
- 2-3-16. ビジネスフォン主装置が内線番号を作り出す
- 2-3-17. 主装置に収容する外線に対して設定を行う
- 3. ビジネスフォンなら電話を効率よく利用できる
- 4. 内線と外線以外にも、いろいろな使い方ができる
- 5. 最後に
1. なぜ会社ではビジネスフォンを使うことが当たり前なの?
多くの会社で愛されている、かどうかはわかりませんが、「あのボタンがたくさんついた電話機」は、なぜ当たり前のように使われているのでしょうか。
1-1. 会社では家よりも多くの人が電話を使うから
家で使う電話機は一般電話機とよばれるものが多いですが、家族で同時に使うような場面はまずありません。
一方、会社では家よりも多くの人が仕事で電話を使います。
家の電話のように電話回線が1本あれば十分、というわけにはいきません。
人数に比例して、電話機の数も(当たり前ですが)増えることになります。
電話機の数が増えるということは、それに応じて電話回線の数も増える、ということになりますよね?
1-2. すべての電話機に電話回線を用意しますか?
電話機の数を増やせばいい、ということで家でつかうような一般電話機を10台用意したとしましょう。
一般電話機にはそれぞれ電話回線が必要になります。
(INS64回線は1回線で同時2通話)
そして電話回線には毎月の基本料金を支払う必要があります。
(ライトプラン、事務用、プッシュ回線、1級取扱所の場合)
- 2,915円 × 10回線 = 29,150円(税抜 26,500円)
(ライトプラン、事務用の場合)
- 4,158円 × 5回線 = 20,790円(税抜 18,900円)
このように、すべての電話機に電話回線を用意すると、
- アナログ回線の場合は、毎月29,150円
- INS64回線の場合は、毎月20,790円
の基本料金を支払うことになるわけですが…。
ほんとうに全部用意しますか?
1-3. 一般電話機だけでは、やっぱり不便
ほんとうに全部用意してしまった・・・。
xx-xxxx-0001(親)
xx-xxxx-0002(子)
xx-xxxx-0003(子)
xx-xxxx-0004(子)
xx-xxxx-0005(子)
xx-xxxx-0006(子)
xx-xxxx-0007(子)
xx-xxxx-0008(子)
xx-xxxx-0009(子)
xx-xxxx-0010(子)
…せっかくなので、実際に使ってみることにしましょう!
さっそく電話がかかってきました。
1本目の着信なので、xx-xxxx-0001の電話回線がつながっている電話機のベルが鳴ります。
0001の電話機はAさんの席にあります。
そういうわけで、Aさんはすばやく受話器を上げて応答します。
着信に応答したのはAさんですが、かけてきた人はBさんに用があるとのこと。
AさんはBさんに電話がかかってきたことを伝え、受話器をひっぱってBさんに渡します。
席が近いですからね!
とりあえず取り次ぎが終わってひと安心のAさん。
BさんがAさんの電話機で通話している時に、Bさんの電話機に電話がかかってきました。
代表組が組まれているので、0001の次に着信するのはBさんの0002の電話機、というわけですね。
手が離せないBさんの代わりに、席が近いAさんが、手を伸ばしてBさんの電話機の受話器を上げて応答します。
次にかけてきた人はGさんに用があるとのこと。
Gさんに取り次ぎしたいAさんですが、今度は席が離れているため、受話器をぐいっと伸ばすわけにはいきません。
GさんにBさんの電話機まで来てもらうようにお願いし、なんとか通話を取り次ぐAさん。
お疲れ様です。
というようなことを繰り返していては、はっきりいって仕事になりません。
このように、単独で横のつながりがない一般電話機を並べただけでは、まともな電話対応をすることはまず無理でしょう。
多人数で電話を楽しく、仲良く、効率的に使えるようにするために、たどりついたのがこの「ビジネスフォン」なのです。
やっと出てきましたね、ビジネスフォン。
ビジネスフォンを導入すれば、たくさんある電話機や電話回線を上手にまとめられて、快適な電話ライフまっしぐらなのです。
というわけで、次はビジネスフォンについて説明します。
2. ビジネスフォンの基本は「内線」と「外線」そして「主装置」
2-1. ビジネスフォンの内線とは?
「内線」という言葉自体は、ちらほらと聞いたことがあると思います。
2-1-1. 「内線」とは事務所内や建物内、あるいは同じ会社の中だけで使える電話のこと
内線とは、次のような範囲内でつかえる電話のことを指します。
- 同じ事務所内
- 同じ建物内
- 同じ会社内
基本的には同じ会社内でだけ使えるのが一般的ですね。
実は冒頭で述べた「あのボタンがたくさんついた電話機」も内線なんです。
2-1-2. 電話機はかならず「内線番号」を持っている
内線で使う電話機には、必ず「内線番号」が割り当てられています。
内線番号は必ず1台ごとに、ユニークな番号が割り当てられます。
- 内線10、11・・・
- 内線200、201・・・
- 内線3000、3001・・・
2-1-3. 社内では内線番号をダイヤルして無料で内線通話
社内だけで通話をする場合は、内線番号をダイヤルして内線を呼び出しします。
内線200から内線201を呼び出すときは、次の通りです。
- 内線200の受話器を上げる
- 内線201をダイヤルする
- 内線201を呼び出す
- 内線201が応答すると内線通話になる
内線同士の通話はもちろん無料です。
2-1-4. 内線には様々な種類の電話機がある
内線で使う電話機には、実に様々な種類の電話機があります。
多機能電話機はビジネスフォンで一番よく使われる専用の電話機のことです。
あの「ボタンがたくさんついた電話機」ですね。
受話器の部分がコードレス子機になっている多機能電話機です。
電話機本体から離れた場所でも通話ができて便利なんですよ?
アナログ信号で通信をするコードレス電話機です。
電波のカバー範囲が広いのが特徴です。
デジタル信号で通信をするデジタルコードレス電話機です。
というかPHSです。
IPネットワーク上(つまりLAN上)で動作する多機能電話機です。
モジュラーケーブルではなく、LANケーブルで接続します。
IPネットワーク上に接続し、SIPプロトコルで動作する電話機のことです。
海外でよく使われるタイプの電話機や、スマホなどがSIP電話機として使えます。
家庭でつかうような普通の電話機のことです。
FAXも一般電話機と同じ扱いになります。
2-1-5. 内線は電話を使いたい場所に設置する
当たり前のことですが、内線電話機は電話を使いたい場所に設置します。
- 事務所の机の島内
- 役席
- 役員室
- 会議室
- 受付
社内での連絡がスムーズになるように設置するのがポイントです。
2-2. ビジネスフォンの外線とは?
2-2-1. 「外線」とは会社の外に電話をかけるときに使う電話回線のこと
「内線」は社内で使うための電話ですが、「外線」は社外からの電話を受けたり、かけたりするときに使う電話回線のことを指します。
2-2-2. 外線でよく使われる電話回線
外線でよく使われる電話回線には、次のようなものがあります。
アナログ信号で音声を送る、一番古くからある定番の電話回線です。
一般家庭では、このアナログ回線を一般電話機に接続して使うことが多いです。
デジタル信号で音声通信を行う、ISDN回線の1つです。
1回線で同時2通話が可能です。
デジタル信号で音声通信を行う、ISDN回線の1つです。
光ケーブルで建物内に引き込まれ、INS1500回線用DSUでメタル線(銅線)に変換して、ビジネスフォン・PBXに接続します。
1回線で同時23通話が可能です。
IP電話とはIPネットワーク上で通信を行う、VoIP技術を使った電話サービスのことです。
ひかり電話やKDDI光ダイレクト、050番号などが相当します。
2-2-3. 現在はひかり電話が主流
ひかり電話とはNTT東西が提供するIP電話サービスのことです。
- 0ABJ番号が使える(03、06などの通常の電話番号が使える)
- 基本料金、通話料金が安くなる
- インターネットと電話を一本化できる
- 旧来のアナログ回線やISDN回線(INS64、INS1500)と同じ接続もサポートしている
- LAN直収すれば機器の費用を減らせる
このようなメリットがあることから、現在ではひかり電話がもっともよく使われています。
2-2-4. 外線は【電話番号の数】と【同時通話の本数】で決める
外線で抑えておくべきポイントは次の2つです。
- 必要となる【電話番号の数】
- 想定される【同時通話の本数】
まずは会社全体で必要となる、電話番号の数について考えてみましょう。
- 会社の代表番号
- 代表FAXの番号
- 部署ごとに必要となる番号
- 個人ごとに必要となる番号
- 社内連絡用の番号
このように、必要となる電話番号の数を洗い出します。
つぎに会社全体で想定される、外線の同時通話の本数について考えましょう。
本数の考え方には大きく分けて次のようなものがあります。
部署ごとなどに確保しておきたい本数を割り出し、それらを合計する
例を挙げてみましょう。
各部署 | 本数 |
代表番号 | 3 |
部署A | 2 |
部署B | 4 |
部署C | 2 |
FAX | 2 |
合計 | 13 |
社内についている内線の数から、ざっくりと外線の数を割り出します。
(例)内線の数の3割を外線の本数とする
- 内線10台 → 外線3本
- 内線30台 → 外線9本
- 内線100台 → 外線30本
…と、こんな感じです。
さて、これまで説明してきた「内線」と「外線」。
これらはすべてビジネスフォンの「主装置」と呼ばれる大元の機械に接続されることになります。
2-3. ビジネスフォンの主装置とは?
2-3-1. 内線と外線は主装置に接続
これまで説明してきた「内線」と「外線」は、すべてビジネスフォンの「主装置」に接続されることになるわけですが、そもそも
「主装置ってなんやねん」
…という方のほうが多いことでしょう。
2-3-2. ビジネスフォンの主装置は「筐体」と「パッケージ」で構成されている
ビジネスフォン・PBXの大元にあたる「主装置」は主に次の2つで構成されています。
- 筐体
- パッケージ(基板)
2-3-3. ビジネスフォン・PBXの【筐体】とは
ビジネスフォン・PBXの筐体は、主装置の外観部分にあたります。
筐体部分は次のように呼ばれることもあります。
- キャビネット
- PIM(ピム)
- シェルフ
- 架
小規模容量タイプのビジネスフォンであれば、筐体は1つだけで構成されています。
一方、中規模容量タイプ、大規模容量タイプのビジネスフォン・PBXでは、筐体を複数組み合わせて構成することになります。
このように複数の筐体を組み合わせる方式のことを、ビルディングブロック方式と呼びます。
2-3-4. ビルディングブロック方式とは
ビルディングブロック方式が採用されているビジネスフォン・PBXでは、筐体を増設することで、より多くの内線や外線を収容することができるようになります。
ビルディングブロック方式によって組み合わせることができる筐体の数は、メーカーや機種によって異なります。
- 1架だけの構成なのでビルディングブロックには対応していない
- 最大2~4架程度までの筐体構成が可能
- 最大8~12架程度までの筐体構成が可能
- 最大数十架程度までの筐体構成が可能
機種によっては、1つのラインナップで、小規模~大規模までのビルディングブロックが可能なビジネスフォンも販売されています。
- NEC製ビジネスフォン「Aspire X」
- NEC製ビジネスフォン「Aspire UX」
- NEC製ビジネスフォン「Aspire WX」
2-3-5. 筐体1つあたりのシステム容量
筐体1つあたりに接続できる内線や外線の数を表すシステム容量は、メーカーや機種によって異なります。
1筐体あたりのシステム容量の目安としては次のような単位が挙げられます。
- 24ポート
- 48ポート
- 64ポート
- 96ポート
- 128ポート
- 256ポート
- 384ポート
2-3-6. ビジネスフォン・PBXの【パッケージ】とは
ビジネスフォン・PBXの「パッケージ」とは、筐体に実装するための基板のことを指します。
パッケージは次のように呼ばれることもあります。
- PKG
- ユニット
- カード
このパッケージを必要に応じて、筐体に実装して利用する環境に合わせてカスタマイズしていくわけですね。
2-3-7. パッケージの種類
パッケージには次のような種類があります。
- 多機能内線パッケージ
- アナログ内線パッケージ(一般内線パッケージ)
- 長距離内線パッケージ
- VOIPパッケージ(内線用)
- PHSアンテナ接続パッケージ
- ISDN内線パッケージ
- アナログ回線パッケージ
- INS64回線パッケージ
- DSUパッケージ
- INS1500回線パッケージ
- VOIPパッケージ(外線用)
- OD専用線パッケージ(市外専用線パッケージ)
- LD専用線パッケージ(市内専用線パッケージ)
- TTC2M専用線パッケージ
- 1.5M系デジタル専用線パッケージ
- SIP専用線パッケージ
- ドアホンパッケージ
- 構内放送パッケージ
- 外部音源接続パッケージ
- PB信号パッケージ
- 会議通話パッケージ
- ナンバーディスプレイパッケージ
- 通話料金管理パッケージ
- ボイスメールパッケージ
- デジタルナースコールパッケージ
- アナログナースコールパッケージ
- ルータパッケージ
- ブリッジパッケージ
- CPUパッケージ
- 網同期(クロック)パッケージ
- リレー制御パッケージ
パッケージについては次のページを参照してください。
2-3-8. 必要なパッケージを筐体に実装
実際に利用する環境に合わせて、筐体にパッケージを実装していきます。
- 内線電話機の種類、台数
- 収容する外線の種類、本数
- 利用する機能
2-3-9. 【CPUパッケージ】は、必ず筐体の基本架に実装する
どのようなビジネスフォン・PBXにも必ず実装されるパッケージがあります。
それがCPUパッケージです。
CPUパッケージはビジネスフォン・PBXにおいて中核となる役割を果たすもので、すべての設定情報がこのCPUパッケージによって制御・管理されます。
もしも、このCPUパッケージが故障したら、他のパッケージに何の故障がなくても、すべての動作が停止してしまいます。
2-3-10. CPU以外の【制御系パッケージ】を実装する
CPU以外の制御系のパッケージは、CPUの補助的な役割を果たします。
- 複数の筐体をビルディングブロック方式で連結するときは、【筐体間の制御を行うパッケージ】を各筐体に実装
- INS64回線、INS1500回線を主装置に収容する場合は、ISDN回線に必要不可欠となる網同期を行うために【網同期(クロック)パッケージ】を実装
- アナログ回線でのダイヤルイン、もしくはPB信号を使う一般電話機を接続する場合は、【PB信号パッケージ】を実装
2-3-11. 【内線系】パッケージを筐体に実装する
接続する内線の電話機の種類や数に応じて、必要となる内線系パッケージを筐体に実装します。
例えば次のような感じです。
- 16回線用の【多機能内線パッケージ】を2枚実装する(合計32台まで)
- 24回線用と8回線用の【多機能内線パッケージ】を1枚ずつ実装する(合計32台まで)
- 8回線用の【多機能内線パッケージ】を4枚実装する(合計32台まで)
- 16回線用の【アナログ内線パッケージ】を1枚実装する(合計16台まで)
- 8回線用の【アナログ内線パッケージ】を2枚実装する(合計16台まで)
2-3-12. 【外線系】パッケージを筐体に実装する
収容する外線の種類や本数に応じて、必要となる外線系パッケージを筐体に実装します。
例えば次のような感じです。
- 16回線用の【アナログ回線パッケージ】を1枚実装する(合計16本まで)
- 12回線用の【アナログ回線パッケージ】を1枚実装する(合計12本まで)
- 8回線用の【アナログ回線パッケージ】を2枚実装する(合計16本まで)
- 8回線用と4回線用の【アナログ回線パッケージ】を1枚ずつ実装する(合計12本まで)
- 8回線用の【INS64回線パッケージ】を1枚実装する(合計8本まで)
- 4回線用の【INS64回線パッケージ】を2枚実装する(合計8本まで)
- 4回線用と2回線用の【INS64回線パッケージ】を1枚ずつ実装する(合計6本まで)
2-3-13. 【専用線】パッケージを筐体に実装する
収容する専用線の種類や本数に応じて、必要となる専用線パッケージを筐体に実装します。
例えば次のような感じです。
- 8回線用の【LD専用線パッケージ】を1枚実装する(合計8本まで)
- 4回線用の【LD専用線パッケージ】を2枚実装する(合計8本まで)
- 4回線用と2回線用の【LD専用線パッケージ】を1枚ずつ実装する(合計6本まで)
2-3-14. 【機能系】パッケージを筐体に実装する
追加したい機能に応じて、【機能系】パッケージを筐体に実装します。
例えば次のような感じです。
- 多人数で会議通話したい場合は【会議通話パッケージ】を実装する
- ドアホンを接続したい場合は【ドアホンパッケージ】を実装する
- 放送設備のスピーカーから放送したい場合は【構内放送パッケージ】を実装する
- ボイスメール機能を使いたいときは【ボイスメールパッケージ】を実装する
このように様々なパッケージを筐体に実装することで、内線や外線を接続したり、様々な機能を利用することができるようになるのです。
だがしかし
主装置の筐体を連結したり、パッケージを実装しただけで使えるようになるほど、ビジネスフォンは甘くはないのです。
2-3-15. ビジネスフォンはデータ設定が命
ビジネスフォン・PBXは適切なデータ設定をすることで、はじめて命が吹き込まれます。
少し大げさかもしれませんが
このデータ設定によって、実際の電話の使い勝手の良し悪しが決まると言っても過言ではありません。
とはいうものの、すべての設定について触れていてはキリがないので、ここでは内線と外線に絞って説明しましょう。
2-3-16. ビジネスフォン主装置が内線番号を作り出す
内線で使う電話機は【必ず内線番号を持っている】というお話をしましたが、この内線番号はビジネスフォン主装置が作り出しているんです。
内線系パッケージに実装されている回路ひとつひとつに対して、データ設定を行って内線番号を割り当てます。
内線ポート番号 | 内線番号 |
---|---|
001 | 200 |
002 | 201 |
003 | 202 |
IP内線の場合は物理的な回路というものが存在しないので、IP多機能電話機やSIP内線などの端末のIPアドレスごとに論理的に内線番号を割り当てます。
IPアドレス | 内線番号 |
---|---|
192.168.20.101 | 300 |
192.168.20.102 | 301 |
192.168.20.103 | 302 |
このように、データ設定で内線番号が作り出されることで、はじめて内線が使えるようになるのですね。
2-3-17. 主装置に収容する外線に対して設定を行う
一方、外線に対しては次のような設定を行います。
- 着信のさせ方
- 着信時のベルの鳴動のしかた
- 発信するときに使う外線の順番
- 相手に通知するときの発信者番号
上記の設定はほんとうに必要となる基本的な部分だけを抜粋しましたが、他にも数多くの設定があります。
外線に関するデータ設定は、運用上もっとも大切な部分といえるため、ビジネスフォンの設定も細かくなるわけですね。
3. ビジネスフォンなら電話を効率よく利用できる
内線と外線の間をビジネスフォン主装置が制御することによって、内線から外線を効率よく快適に利用することが可能になります。
3-1. 内線から外線を効率よく利用できる
ビジネスフォンなら外線着信したときに、どの内線からでも着信にかんたんに応答することができます。
ビジネスフォンなら外線通話を別の人にかんたんに取り次ぐことができます。
- 外線通話中のAさんが保留ボタンを押す
- 外線ボタンに通話が保留され、ボタンが点滅する
- Eさんに声をかける
- Eさんの電話機から、保留点滅している外線ボタンを押す
- Eさんと外線との通話になる
このように、お互いの電話機のボタンをちょちょっと操作するだけで、かんたんに通話を取り次げるのでとても楽ですよね。
実は、この通話の取り次ぎは、ビジネスフォン・PBXの、本命機能のひとつなんです。
ビジネスフォンなら、どの内線電話機からでも外線を使って、外に電話をかけることができます。
必要なときにだけ内線から外線を使うので、外線の本数は最小限でいいので経済的です。
3-2. 社内連絡は内線で無料通話
- 遠くの席
- 離れた部屋
- 違う階
- 違う建物
それらの場所に内線電話機さえついてれば、内線でかんたんに呼び出すことができます。
内線はビジネスフォン・PBXがついている社内だけで使うので、通話料はかかりません。
このように、内線と外線の間をビジネスフォン主装置が橋渡ししてくれるんですね。
単独で使う一般電話機とくらべると、使い勝手の良さが格段に違うことがおわかりいただけたことでしょう。
4. 内線と外線以外にも、いろいろな使い方ができる
ビジネスフォンは、内線と外線をメインに使うことが多いのですが、ほかにもいろいろな使い方ができるようになっています。
5. 最後に
最後に、このページで説明したビジネスフォンについておさらいしましょう。
- 電話回線と一般電話機の組み合わせだけでは、会社で使うには力不足
- 特に通話の取り次ぎが困難
- だからビジネスフォンを使う
- ビジネスフォンは「内線」と「外線」と「主装置」を組み合わせる
- 内線は社内で使う電話
- 外線は外にかけるために使う電話(主流はひかり電話)
- ビジネスフォン主装置は筐体とパッケージで構成
- 利用環境に応じて、パッケージを実装する
- ビジネスフォン主装置はデータ設定をして、はじめて真価を発揮する
- ビジネスフォン主装置が内線と外線を橋渡しして、外線を効率よく利用
- ビジネスフォンの内線同士は通話が無料
- ビジネスフォンは内線と外線以外にも様々な使い方がある
このようにビジネスフォンは、会社で電話業務を円滑にするために欠かせないツールであることは間違いありません。
「電話・ビジネスフォンのTSA」では、このビジネスフォンについて詳しく説明するだけでなく、電話や通信に関するサービスについても、幅広く紹介していきたいと考えています。
どうぞお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。